2011 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧に伴う血管性認知症、慢性腎障害における細動脈硬化とストレスの関与の解明
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22590662
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
羽野 卓三 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90156381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水越 正人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90254531)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 老化 / 脳・神経 / 薬理学 |
Research Abstract |
生後6週齢の高血圧自然発症ラット(SHR/Izm)と対象となるWKY/Izmを2群に分け、タウリン群には3%タウリンを飲水として2週間投与した。タウリンは血管内皮前駆細胞(EPC)数には影響を与えなかったが、EPCの老化細胞数は減少した。認知機能について行動解析装置を用いたMorris水迷路試験を行い、回避時間を測定した。WistarラットおよびWKYにおいて拘束ストレスは一過性の認知機能低下(回避行動の延長)を引き起こした。WKYでみられる回避時間の延長はタウリンを慢性投与することで改善した。SHRはWKYと比較して回避時間が短かった。SHRでも拘束ストレスによる認知機能の低下がみられ、慢性的なタウリン投与による回避抑制の効果は大きかった。このことから拘束ストレスはラットの認知機能を一時的に低下させ、含硫アミノ酸であるタウリンはストレスによる認知機能の障害を抑制した。脳内のタウリン含量が少ないSHRでは慢性的なタウリン投与効果が増大するが、回避時間の短縮はSHRにみられる多動性の影響が関与していると考えられた。同様の条件下で慢性タウリン投与は高血圧においてみられるEPCの細胞老化の増加を抑制した。脳血流についての検討では、拘束ストレスはレーザー血流計でみられる脳血流の低下を来たした。虚血の部位についての検証を行う予定である。腎血流は直接的な腎神経の神経刺激により皮質、髄質間の血流分布に変化が生じた。腎血流は刺激頻度には依存するが、腎虚血に暴露された場合、神経刺激による血流増加がみられるなど、正常腎での血流動態と異なる反応を示した。本年度は、高血圧ラットにおける動態の変化についての検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認知については、正常ラットでの検討に加え、高血圧ラットでの研究を進めている。腎についてはストレスでの腎血流について従来の報告ではみられない現象がみられることが明らかになったため、神経刺激時の腎血流への影響を先に検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
脳血流については高血圧についての検討をすることで最終段階に達する予定である。また、ストレス時の脳虚血についてレーザー血流計および虚血マーカーによる部位診断を行い、タウリンとの関連について検証を行う。腎血流については腎の皮質・髄質の血流分布について確認を済ませた後、高血圧およびストレス時の血流分布および虚血マーカーでの検証を行う予定である。
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