2012 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線スペクトロスコピーを用いた認知症周辺症状の臨床評価
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22590664
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
長谷川 浩 杏林大学, 医学部, 講師 (00237984)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2015-03-31
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Keywords | レビー小体病 / fNIRS / 脳表脳血流量 / 障害物回避 / 脳血流分布 |
Research Abstract |
(概要)本年度は、認知症高齢者の転倒傾向をSPECTでの脳血流量評価から、自覚的不安感の有無に基づくハンカチテストを考案して、小脳を基本血流量との比較で右前頭葉の血流低下が転倒因子である可能性を示した。我々は移動に際して障害物での回避行動での脳血流量変化に関して、認知症疾患別の反応差違の検討した。(対象・方法)認知症登録者17名(男性6名:平均年齢78.3±4.9歳、女性11名79.0 ±6.3歳)を対象として、アルツハイマー病10名とびまん性レビー小体病(DLB)7名、正常コントロールとして4名に対してfNIRSを実施し脳表脳血流量の分布変化の検討を行った。実施したタスクとしては①注意注視時間15秒円筒形のまたぎ行為各45秒計1分②高さ円筒形160cmを30センチの間隙で2本設置し、隘路を注視時間15秒と引き続き隘路を通り抜けと一往復実施した45秒間のタスクを実施、設定した。(結果)全例17例に対してタスクを実施して全例支障なく実施可能であった。レビー小体病においては障害物注視時間で右)前頭葉での脳表脳血流量はコントロールで認めた増加を認めず、タスク実施中に低下傾向を示した。 アルツハイマー病では注視時間内で右)前頭葉の脳表脳血流量の上昇をみとめるが、右)後頭葉での脳表脳血流量はレビー小体病と同様に低下した。コントロールでは右)前頭葉・左)後頭葉でのタスク前注視時間での上昇とタスク実施時の血流低下をきたした。(結論)認知症患者は障害物注視段階で脳表脳血流分布の差を認め、アルツハイマー病では右)前頭葉の上昇は軽度に留まり、レビー小体病(DLB)では右)前頭葉・左)後頭葉共に上昇を認めなかった。障害物回避行動での脳血流分布からアルツハイマー病とレビー小体病との易転倒性と鑑別可能性が示唆され、しかも注視段階で最も脳血流分布に差を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年までの結果を合わせるとこの研究の目標の65%以上は達成しているいものと考えられる。平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に杏林大学病院もの忘れセンターを初診で受診し、病名のついた認知症患者において、特に周辺症状の強いアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症につき課題解決型の検査を行うことで各周辺症状に特有な脳血流変化のパターンを発見することである。今回は特に障害物回避という、転倒予防につながる日常的動作に注目して行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も杏林大学病院もの忘れセンターを初診で受診し、病名のついた認知症患者において、同様の方法・対象で研究を推進する。しかしながら、認知症患者で周辺症状を示す患者は、安静が取れないケースも多く、この場合検査が全くできないか、できてもノイズの多いデータとなり解析に難渋することがある。また、患者の家族が研究への参加に同意しない場合もあり、この点も問題となることがある。対応策としては、周辺症状の比較的軽度の患者を対象として増やすこと、患者の家族への説明に時間をかけることであると考えており、広く研究参加者を募っていく予定である。
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Research Products
(5 results)