2010 Fiscal Year Annual Research Report
痛風発症ならびに尿酸降下薬の薬理効果を規定する分子機構の探索と臨床応用
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22590667
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
浦野 和子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40277140)
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Keywords | 痛風 / 高尿酸血症 / 遺伝子多型 / C統計量 / 遺伝要因 / 環境要因 |
Research Abstract |
【目的】痛風・高尿酸血症は多因子疾患であり、遺伝要因として複数のリスクアレルの集積が関与しているものと考えられる。2007年以降、GWASにより血清尿酸値の分散に関連する遺伝子多型について国内外含め多くの報告があり、これらの一部は、痛風の疾患感受性遺伝子であることが確認されている。これらの遺伝子多型を用いた遺伝要因と環境要因を含むモデルによる痛風発症予測の有用性について検討する。【対象と方法】排泄低下型高尿酸血症を呈する男性痛風患者153例を痛風群とし、健常男性532例をコントロール群とした。遺伝要因としてPDZK1、GCKR、ABCG2、LRRC16A、LRP2、SLC17A1、SLC2A9、SLC16A9、SLC22A11、SLC22A12の11遺伝子から12遺伝子多型を選択した。選択した遺伝子多型をもとに痛風発症についてのリスクアレルを決定し、これらの総和をGenotype scoreとした。Genotype scoreによる遺伝要因に、年齢・body mass index・中性脂肪値・糸球体濾過量推定値を環境要因として加え痛風発症予測モデルを設計し、予測モデルの分類性能をC統計量で評価した。【結果】Bonferroni法による多重検定を行ったところ、前述の遺伝子多型のうちGCKR、ABCG2、SLC17A1、SLC2A9、SLC22A12の遺伝子多型は痛風発症に有意な関連を認めた。Genotype scoreは対照群に比べて痛風群で有意に高値であった(P<0.0001)。非遺伝要因にgenotype scoreを加えたモデルではC統計量が上昇した。【考察】Genotype scoreの検討から痛風発症には複数のリスクアレルの集積が関与することが示唆された。また遺伝要因と環境要因によるモデルは痛風発症予測に有用である可能性があると考えられた。
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Research Products
(6 results)