2010 Fiscal Year Annual Research Report
漢方薬の粘膜免疫の活性化能を応用した粘膜ワクチンの開発
Project/Area Number |
22590672
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
宮田 健 崇城大学, 薬学部, 教授 (90040310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
礒濱 洋一郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (10240920)
横溝 和美 崇城大学, 薬学部, 准教授 (80240919)
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Keywords | 粘膜ワクチン / アジュバント / 漢方薬 / インフルエンザ |
Research Abstract |
インフルエンザなどの感染性疾患の感染を予防するためには,気道や消化管の粘膜でのIgAの産生を誘導する粘膜ワクチンが必要だが,これにはアジュバントを用いることが必須である.しかし,これまでに提唱されている粘膜ワクチンのアジュバントは,それ自身の炎症誘発作用の問題や,医療経済学的問題から実用化された例はほとんどない.我々は,呼吸器疾患領域で鎮咳去痰薬として用いられる麦門冬湯を中心に,その薬理作用のプロファイルを調べてきた.麦門冬湯は,既に粘膜ワクチンのアジュバントとしての有用性が示されている肺サーファクタントの分泌促進作用とともに粘膜免疫賦活作用をもち,過剰な炎症反応を抑制することから,理想的な粘膜免疫アジュバントとしての性質をもつと考えられた.本研究により,麦門冬湯は気道粘膜上のIgA産生量を増加させることが判明し粘膜免疫賦活作用および肺サーファクタントの産生・分泌促進作用に伴って気道粘膜上の感染防御に有効である可能性が考えられた。また,麻黄湯は麦門冬湯より強いIgA産生増加作用を示し、インフルエンザ等の感染症にある程度,有効であることが示唆された.しかし,インフルエンザワクチンの鼻腔内接種後のウイルス特異的IgA産生量は弱く,粘膜ワクチンのアジュバントとするにはさらに検討が必要である。これらの成績は,漢方薬の免疫誘導効果は初期の感染症の治癒に貢献している可能性を示唆しており,粘膜ワクチンの開発原理を考える上で興味深い.
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Research Products
(4 results)