2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590676
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 宏司 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60261294)
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Keywords | グレリン / GOAT / 漢方薬 / 六君子湯 |
Research Abstract |
申請者はシスプラチン投与にともなう食欲不振に対して、六君子湯およびその成分が5HT2受容体に拮抗することにより血中アシルグレリンを増加させ、食欲不振を改善することを報告してきた。しかしながら、血中アシルグレリン/デスアシルグレリン比が上昇する機序は不明のままであった。本研究は、六君子湯およびその成分がアシル基転移酵素(GOAT)の活性を修飾する可能性を検証することを目的とする。 平成23年度は、ストレスがグレリン産生系に与える影響の検討を行った。6週齢のC57BL/6J雄性マウスを用い、グループ飼育から個別飼育に切り替え、新奇環境ストレスを負荷した。隔離後、血清コルチコステロンは増加、血漿グレリンは低下した。六君子湯は隔離マウスの血漿グレリンを増加させ、摂食量の低下を抑制した。また、その作用はグレリン受容体拮抗剤により抑制された。社会的隔離による食欲不振に対し、六君子湯はグレリン分泌を促進する事により食欲を改善させると考えられた。 また同年度は、ヒトcDNAライブラリーより、特異的プライマーを用いたPCR法にて、ヒトpreproghrelinおよびGOAT遺伝子をクローニングし、両遺伝子を同時に発現させるpCMV-Ghr-I-RES―GOAT(CMVプロモーター配列および抗生物質neomycinに対する耐性遺伝子を有する)を構築した。次に、構築したpCMV-Ghr-IRES-GOATをリポフェクション法によりヒト胎児腎臓HEK293細胞に遺伝子導入した。その後、培地中に抗生物質G418を添加して選択を行い、耐性細胞のクローンを複数単離した(293-Ghr/GOAT細胞)。293-Ghr/GOAT細胞のcell lysateを用いてアシルグレリンを検出できることを、アシルグレリン特異的ELISA法を用いて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定的にヒトpreproghrelinおよびGOAT遺伝子を発現する293-Ghr/GOAT細胞の樹立に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、安定的にヒトpreproghrelinおよびGOAT遺伝子を発現する293-Ghr/GOAT細胞にn-オクタン酸を0.01%添加して培養後、細胞を回収する。回収した細胞のcell lysateを調製し、オクタン酸の添加によるアシルグレリンの産生量の変動をアシルグレリンに対する特異的ELISA法により測定する。この系に、50%DMSOに溶解した40種類の六君子湯成分を最終100μMになるように添加し、同様にELISAによりアシルグレリン産生量を測定する。成分を添加しない対照群のアシルグレリン産生量と比較することで、六君子湯成分のGOAT活性に対する影響を明らかにする。
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[Journal Article] 10-Gingerol, a component of rikkunshito, improves cisplatin-induced anorexia by inhibiting acylated ghrelin degradation2011
Author(s)
Sadakane C, Muto S, Nakagawa K, Ohnishi S, Saegusa Y, Nahata M, Hattori T, Asaka M, Takeda H
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 412
Pages: 506-511
DOI
Peer Reviewed
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