2011 Fiscal Year Annual Research Report
日米共同研究によるバレット食道の発生ならびに抑制機序の解明
Project/Area Number |
22590692
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
渡 二郎 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10311531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 洋人 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80190833)
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Keywords | バレット食道 / メチル化異常 / ゲノム不安定性 / Helicobacter pylori |
Research Abstract |
本研究は、バレット食道の生検標本からDNA解析を行うため、本邦でのバレット食道の頻度が少ないことを考えると症例の集積に時間がかかっている。これまで50例のバレット食道症例を登録し、27例の解析を行った。これらの多くはshort scgmentバレット食道であった。このうち、ゲノム不安定性(Microsatellite instability,MSI)を25.9%に認めた。また、解析可能であった中で、プロモーター領域のメチル化異常はhMLHl 3.8%、p16 23.1%、E-cadherin 19.2%、APC 53.8%に認めた。 特殊腸上皮化生(SIM)とSIMのない円柱上皮化生(CLE)でのMSIとそれぞれの遺伝子におけるメチル化異常の頻度は、ρ16でのメチル化異常を除き、差を認めなかった。しかし、ρ16遺伝子のメチル化異常はSIMでのみ認められ、CLEには認めなかった(p<0.05)。また、H.pylori感染の有無によるこれらの発現の頻度に差は認めなかった。 以上の結果は、SIMやH.pylori感染の有無にかかわらずバレット粘膜には分子異常を認め、ρ16のメチル化異常はSIMにおいて高頻度に発現するメチル化異常である可能性がある。 H.pylori除菌1年後の分子マーカーの変化を検討できた症例では、MSIの消失を認めたがメチル化異常には変化はなかった。今後、さらに多くの症例の集積が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本邦でのバレット食道の頻度が少ないうえ、本試験への登録に躊躇する患者が多く、研究が遅れている。また、米国人でのバレット食道の解析を当施設で行う予定であったが、米国施設での倫理的問題があり解析ができていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
介入試験の内、酸分泌抑制剤(PPI)の内服の介入試験は症例の集積が悪く中止を考えている。H.pylori除菌の介入試験は、当施設で早期胃癌の内視鏡治療後の患者を対象にした介入試験を同時に行っているため、それらの患者でバレット食道を認めた患者を本研究対象に含め、進行が可能である。
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Research Products
(19 results)