2011 Fiscal Year Annual Research Report
K-ras遺伝子変異はGST-πを介して大腸発癌を促進する
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22590700
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高山 哲治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10284994)
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Keywords | GST-π / K-ras / 大腸発癌 |
Research Abstract |
【目的】われわれはこれまで、大腸発癌の初期病変ではK-ras変異によりGlutathione S-transferase (GST)-πが誘導されることを報告した。本研究では、GST-πノックアウト(KO)マウス由来大腸細胞に変異K-ras遺伝子を導入し、細胞増殖やアポトーシスの変化を調べることにより、大腸発癌におけるGST-πの役割を明らかにする。また、siRNAを用いてK-ras変異陽性大腸癌細胞のGST-πをノックダウン(KD)し、細胞増殖に及ぼす効果や機序、K-ras下流に存在するMAP kinaseとの関係を明らかにする。 【方法と結果】(1)GST-πノックアウト(KO)マウス由来大腸細胞に変異K-RAS遺伝子を導入し、G418耐性細胞GSTKO/RAS1-3を樹立した。GSTKO/RAS1及びGSTKO/RAS2を培養してMTT assayを行ったところ、いずれもGSTKO/neoに比べ細胞増殖が高まっていた。(2)GST-πsiRNAを用いてK-ras変異陽性大腸癌細胞株M7609のGST-π発現をノックダウシ(KD)し、細胞増殖活性をMTT assayにより調べたところ、GST-πKD(M7609GSTsiRNA)細胞では親株に比べて有意に低下していた。(3)M7609GSTsiRNAにおけるP-RAF,p-MEK,P-ERKの発現をWestern blot法により調べたところ、いずれも有意に発現が低下していた。(4)M7609のcytosolに抗p-RAF抗体を添加して免疫沈降を行い、抗GST-π抗体でWestern blotを行い、GST-πとp-RAFの結合を確認した。 【考察】大腸発癌においては、GST-πがp-RAFと直接結合することにようp-RAFを安定化し、さらにMEK,ERKを活性化して細胞増殖を促進することにより、発癌を促進することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GST-πノックアウトマウ不由来の大腸細胞を用いた変異K-RAS遺伝子の導入実験及びsiRNAを用いたノックダウン細胞を用いた実験が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでおり、とくに研究計画の変更などは無い。 今後は、GST-πとMAPkinaseであるRAFやJNKなどとの関係を詳細に検討する。
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