2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22590712
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
河村 由紀 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所肝炎・免疫研究センター消化器疾患研究部・消化器病態生理研究室, 室長 (10392391)
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Keywords | 消化管 / 糖鎖 / エピゲノム |
Research Abstract |
消化管の慢性炎症では、傷害を受けた粘膜修復のために、急速な上皮細胞分裂と機能細胞への分化が起きている。申請者らは潰瘍性大腸炎の再生上皮細胞で見られる糖鎖変化と、その主たる原因として複数の糖鎖合成遺伝子がDNAメチル化亢進により発現抑制されているということを見出した。この事実は、腸管粘膜治癒過程におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御機構の重要性を示唆している。そこで申請者らは、傷害を受けた再生上皮の分裂促進およびその後の分化誘導に重要な因子がエピジェネティックな発現制御を受けているのではないかと考えた。これらの因子を同定し、その機能を明らかにすることで、消化管粘膜治癒に関わる分子メカニズムの解明を試みた。 23年度は炎症治癒過程の上皮細胞でDNAメチル化によりサイレンシングされる遺伝子の同定を目的として、デキストラン硫酸ナトリウム(大腸炎の誘導)投与により作製したマウス炎症モデルから上皮細胞を回収し、マイクロアレイおよびDNAメチル化アレイ解析を行うことで候補遺伝子の網羅的検索を進めた。これまでに、ムチン産生細胞のマーカとなる遺伝子、レトロトランスポゾン抑制に関与する遺伝子、ホメオボックス遺伝子などが見出されている。これらの候補遺伝子のうち、ヒトホモログの明らかとなっているものについては、正常大腸粘膜、潰瘍性大腸炎組織における発現を検討した結果、レトロトランスポゾン抑制に関与する遺伝子と、ホメオボックス遺伝子については、マウスと同様に正常組織と比べて炎症粘膜において発現の低下が認められた。
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Research Products
(4 results)