2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養HCVを用いた肝免疫環境の構築と新規免疫治療の検証
Project/Area Number |
22590713
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
椎名 正明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (50455820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 光樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30250781)
玉井 恵一 宮城県立がんセンター研究所, 免疫学部, 副主任研究員 (40509262)
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Keywords | ウィルス / 免疫 / 肝線維化 / HCV / 肝炎 |
Research Abstract |
本研究は,培養HCV系を利用して免疫細胞機能をin vitroで詳細に検討し,肝炎や線維化にかかわる因子を解明することを目的としている. (成果の概要)1.HCVccの作成:Huh7細胞株を用い,HCV JFH-1株を1x10^5 ffu/ml以上の安定した感染性で生成可能となっている.2.HCVccと免疫細胞の直接作用:NK細胞はIL-12+18刺激により,CD25とCD69発現が増強したが,HCVの存在如何による増強や抑制を認めなかった.細胞依存性のCD107a脱顆粒アッセイでも,HCV有無による変化はみられず,さらにこれらはE2蛋白結合が報告されているCD81を中和抗体でブロックしても影響を受けないことから,NK細胞の主な機能に対するHCVの直接作用は否定的と考えられた.3.肝星細胞機能へのHCVの関与:星細胞としては,安定した継代が確認できたLX2細胞を用いた.LX2細胞へのHCV(moi=1)の感染実験では,5日後以降は細胞内,上清ともHCV RNAが検出されなくなった.LX2細胞はHCV存在下にて,増殖促進傾向がみられた.しかし一方,上清中のTGF-βは有意に低値であった。4.慢性腎臓病における免疫障害因子の検索:血液透析中のC型肝炎患者末梢血では健常者に比してCD56^<dim>NKが低頻度だが(17.5%),血液透析中患者ではさらに顕著であった(13.1%).当分画のCD69発現は有意に増強しており,機能,分化,成熟の異常が示唆された.ELISPOT法によるT細胞の解析では,透析患者においてIFN-γ産生が多くみられたが,HCV蛋白特異的な反応は弱く,比較困難であった. (今後の見通し)ほとんどの検討が開始段階,または進行中である.結果が多岐にわたることが予想されるため,有意な結果が得られた検討ヘエフォートを配分していく.HCV感染肝細胞のシグナルや制御因子の検討は,多くの報告がなされるようになり,独自性が低くなったため,優先順位を下げることとした.
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