Research Abstract |
C型慢性肝炎治療の第一選択は,インターフェロンを用いた抗HCV治療により,HCV排除を目指すことである.HCV排除が不能な場合は,肝庇護療法を行うことにより,肝炎進展を予防する.ペグインターフェロン・リバビリン併用治療は,約60%のウィルス排除率を達成するようになった.一方で,投与法の工夫によっても,HCVが排除されない,いわゆる「難治例」が残こされている.その一因として,C型肝炎の病態が十分に解明されていないことが挙げられる.生活習慣や嗜好は,様々な疾患のリスクと関連している.近年,コーヒー飲用が肝炎の進行や肝癌発症のリスクを下げているという報告が相次いでいる.C型肝炎ウィルス(HCV)の持続感染では,自然経過で肝硬変や肝癌へと進行する.C型肝炎の治療では,インターフェロン(IFN)を主軸とした治療法の改良により,50%の患者ではHCV排除が得られるようになったが,一方で,IFN以外では,HCVや肝炎に有効な薬剤はあまり存在しないのが現状である.今回,われわれはHCV感染において,コーヒーがHCVの肝線維化に与える影響を検討した。Huh7細胞からのHCV産生は,高濃度のクロロゲン酸により阻害された.また,クロロゲン酸は細胞増殖を誘導したが,カフェインでは認めなかった.LX2細胞のLPS刺激では,クロロゲン酸は培養上清中のTGF B産生を抑制したが,カフェインではみられなかった.一方,細胞内MMP2,MMP9のmRNA発現は,両薬剤により抑制された.結論:コーヒーは,培養HCV系における作用は不定であるが,星細胞に起因する肝線維化を抑制する可能性がある.
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