2010 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝炎発症における自然免疫機構の解明-新規治療法の開発に向けて-
Project/Area Number |
22590714
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
三浦 光一 秋田大学, 医学部, 講師 (90375238)
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Keywords | 肝臓学 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / Toll-like receptor / 炎症性サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
メタボリック症候群の肝臓での表現型とされる非アルコール性脂肪性肝炎(以下NASH)に対する有効な治療法は現在なく、分子メカニズムに基づいた新規治療法の開発が求められている。我々はメタボリック症候群に伴う自然免疫の異常、特に細菌構成成分を認識する受容体Toll-like receptor(以下TLR)とその下流分子がNASH発症や進展に関与しているとの仮説を立て、研究を行っている。遺伝子改変マウスを用いた結果からTLR2,TLR4,TLR9はNASHに促進的に作用することが判明した。またTLRの下流に位置する炎症性サイトカインがNASHでは増加し、TLR KOマウスではNASHの軽減と伴に、炎症性サイトカインの低下を認めた。実際、IL-1R KOマウスでもNASHの改善を認めた。またこれらTLR KOマウスに共通するのは炎症性細胞浸潤の軽減であり、これら細胞の一部は骨髄由来マクロファージであることが判明した。代表的ケモカインMCP-1やその受容体CCR2はNASH動物モデルでは増加していたことから、CCR2 KOマウスにNASH誘導食を投与したところ、NASHの改善が認められた。さらにCCR2阻害剤をWTマウスに経口投与したところNASHの改善が認められた。現在、これらの成果は投稿中である。よってTLRとその下流分子である炎症性サイトカインおよびケモカインはNASH治療においてテーゲットなりうる分子であり、現在引き続き解析を進めている。
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