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2011 Fiscal Year Annual Research Report

DNA障害の修復機構をマーカーとした新しいインターフェロン治療の開発

Research Project

Project/Area Number 22590722
Research InstitutionShowa University

Principal Investigator

大越 章吾  昭和大学, 医学部, 講師 (70231199)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松田 康伸  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
山際 訓  新潟大学, 医歯学系, 助教 (10419327)
矢野 雅彦  昭和大学, 医学部, 助教 (70529693)
Keywords肝癌 / IFNβ / 発癌予防 / DNA修復
Research Abstract

本研究は、臨床使用されているインターフェロン(IFN)のなかで、肝癌を最も強く予防できる可能性が明らかになってきたIFNβ(ベータ)の発癌防御機構を解析し、実効性の高い予防医療を確立することを目的とする。我々は高肝発癌モデルであるHBx遺伝子トランスジェニックマウス(HBx-Tg)を用いた解析で,インターフェロン(IFN)βは細胞増殖やDNA合成を抑制することで,HBx誘導性肝発癌を制御することを示した(J Hepatol.2008).さらに,Microarray解析の結果,HBx-Tgで有意に増強していたcyclin-dependent kinase (CDK) inhibitor (p21) mRNA発現が,IFNβ投与によって減少することが判明した.つまり,p21はHBxの肝発癌機構において重要な役割を担う分子であると示唆された。しかしながらp21は一般的には癌抑制遺伝子であり細胞増殖抑制作用を有する。このような、これまでに確立されたデータとは相反する結果の機序を解明するため、p21に対するHBxの作用およびそれに対するIFNβの働きについて解析した.その結果、HBxの作用によってp21は本来存在するべき核内から細胞質へ移行するが、IFNβの作用によってこの細胞質に存するp21が本来の存在部位である核内に移行することが確認された。p21Siを導入したHBx細胞ではコントロ-ルSiRNAを導入した細胞に比して細胞増殖の抑制が観察された。これは、通常は細胞増殖抑制的に作用するp21がHBxの作用によって細胞質に移行し、むしろ細胞増殖促進的に働くことを示唆するものである。免疫沈降反応によってHBxは細胞増殖促進作用を有するPKCαと連動していることが示され、更にIFNβはPKCαを抑制することによってp21の細胞内局在を制御していることが示された。このようにHBxによってもたらされる肝細胞内でのp21の発現異常が,最終的に発癌へ導く1つの因子であると考えられた.IFNβは,この様な分子機構の抑制によって発癌を抑えることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究はIFNβによるDNA修復機構の活性化という事象に着目し、ウイルス肝炎による肝発癌において評価の定まらないIFN少量持続療法に明確な結論をもたらし、より効果の高い治療法を提供できることを目指したものである。しかし、解析の途中にIFNβによる癌抑制遺伝子p21の抑制という一見パラドキシカルに見える変化を見出したため、これに焦点を絞って研究した結果、IFNβが、さらにp21の細胞内局在を変化させ、本来の活性部位である核内に移行させることによって発癌予防効果を発揮することを見出した。機序の解明に一定の成果を得たことにある程度の自己評価を与えている。

Strategy for Future Research Activity

本研究によってIFNβによる発癌予防効果にポジティブな結論が得られたと考えている。更に、IFNβによるp21の細胞内局在の変化による本来の機能回復、アポトーシス促進作用を見出したことによって、発癌予防作用のみならず抗癌剤として、肝動脈塞栓療法やラジオ波焼灼療法によっても制御不可能となった進行肝細胞癌症例に対する新たな抗癌剤プロトコールの開発が可能になったと考えている。事実培養細胞を用いた実験ではIFNβはIFNαに比してより強いアポトーシス誘導作用を有していた。また我々は高率に肝発癌を起こすHBxトランスジェニックマウスを所有しているため、IFNβ+抗がん剤(シスプラチンや5FUなど)の新しいプロトコール作りに着手したい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Blockade of ataxia telangiectasia mutated sensitizes hepatoma eell lines to sorafenib by interfering with Akt signaling2012

    • Author(s)
      Fujimaki S, Matsuda Y, Ohkoshi S, et al
    • Journal Title

      Cancer Lett

      Volume: 319 Pages: 98-108

    • DOI

      10.1016.j.canlet.2011.12.043

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] HBx誘導性肝発癌にタイするIFN-βの制御機構の分子学的解析2011

    • Author(s)
      矢野雅彦
    • Organizer
      第48回日本肝臓学会総会
    • Place of Presentation
      金沢
    • Year and Date
      2011-06-07

URL: 

Published: 2013-06-26   Modified: 2013-10-17  

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