2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄系血管・免疫前駆細胞を標的とした新規肝癌治療法の開発
Project/Area Number |
22590729
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30362700)
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Keywords | 肝癌 / 血管新生 / 骨髄系前駆細胞 |
Research Abstract |
C型肝硬変からの発癌、治療後の再発や転移には、腫瘍血管の新生や免疫抑制細胞の増加が関与している。肝癌患者の予後を改善するためには、肝癌の再発予防が重要である。本研究では肝癌による血管新生と免疫抑制に関与する骨髄系前駆細胞に着目し、その血液中、組織中での動態と癌部での分化誘導過程を解明することを目的としている。前駆細胞の血液から肝臓への遊走や血管内皮、免疫抑制細胞への分化に関与する分子を同定し、それを標的とする肝癌に対する新規治療法の確立を目指す。本年度は、1)肝癌患者の血液、癌組織での血管前駆細胞の同定と頻度・機能解析、2)血管前駆細胞の分離方法の確立、3)前駆細胞の形質、遺伝子発現の網羅的解析を行った。血中には骨髄由来の血管内皮前駆細胞が存在しており、血管内皮前駆細胞(EPC)やTie-2発現単球(TEM)、VEGFR2発現単球や骨髄系幼若細胞(CD34+)などがその候補となる。その中でTEMに注目し解析した。TEMはCD14dimCD16+VEGFR2-Tie-2+の表現型であり、CD80、CD86、CCR4、CX3CR1などを強発現していた。FACS Ariaによる高速ソーティングによって、肝癌患者末梢血から高純度TEMを採取可能であった。HCV陽性慢性肝疾患患者での末梢血TEM頻度は、肝癌患者で有意に他群より高値であり、肝硬変群とも差を認めた。末梢TEM頻度は、慢性肝疾患と肝癌との判別にAFP値より感度、特異度とも優れており、ROC解析でも高いAUC値となった。またTEMは、末梢血に比較して肝癌組織で高頻度であり、肝癌組織へ集積すると考えられた。RFAや肝切除による肝癌治療によって、TEM頻度は有意に減少した。以上の結果より、肝癌によってTEMが誘導されることが明らかになった。末梢血TEM頻度は、肝癌の診断・治療におけるBiomarkerとしても有用であることが示唆された。
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