2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規循環がん細胞検出による肝細胞癌テーラメード治療法の確立
Project/Area Number |
22590736
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 進一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (70514230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能祖 一裕 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10314668)
藤原 俊義 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00304303)
白羽 英則 岡山大学, 大学病院, 講師 (40379748)
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Keywords | テロメスキャン / 肝細胞癌 / circulating tumor cell |
Research Abstract |
癌の悪性度や転移能を評価する方法として患者血液中の循環癌細胞をとらえる方法がある。本研究は、細胞の不死化に関与しているテロメラーゼの活性を規定している蛋白を発現している細胞を蛍光色素により標識するテロメスキャンを用い、肝細胞癌患者の血中のテロメラーゼ陽性細胞を同定し、臨床応用の可能性を探ることを目的としたものである。テロメラーゼ陽性細胞は原発巣から血管内に侵入した癌細胞である可能性があり、既存の方法では評価し得なかった転移能などの、腫瘍の質的診断に寄与する可能性があると考えられる。テロメラーゼ陽性細胞が治療後の再発や転移性病変の出現などの臨床データとどのように相関しているかを検討するため、現在までに30症例の新規肝細胞患者、および健常者に対してテロメスキャンを施行したが、非担癌健常者の血液中にもテロメラーゼ陽性細胞が検出されることが判明したため、その原因を探索した。これらの細胞は白血球由来のテロメラーゼ陽性細胞であることが想定されたため、肝細胞特異的マーカーを用いた2重染色を行い、肝細胞由来のテロメラーゼ陽性細胞と非肝細胞由来のテロメラーゼ陽性細胞に分類できることを見出し、現在この肝細胞由来のテロメラーゼ陽性細胞を安定的に検出する実験手技の確立を試みている。血液中に循環している肝癌細胞を特異的に検出できれば、肝癌転移・再発の高リスク患者の選別につながるとともに、癌細胞の遺伝子情報を、採血するだけで同定できる新たなモダリティーとなると考えられ、適切な治療・経過フォローが可能となり、患者の生命予後改善に寄与するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
担癌患者のみならず、健常者の血液中にテロメラーゼ陽性細胞が検出され、癌特異的細胞を同定する実験系の確立を追加で行う必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新規の症例に対してはテロメスキャン後に複数の上皮マーカー、上皮間葉移行マーカー、肝細胞特異マーカーを用いて免疫染色を行っている。これにより、テロメスキャンで検出された細胞が癌細胞であることが証明され、さらに、上皮間葉移行マーカー発現などの転移に関連する細胞表現型を評価することが可能であると考えられる。 また、将来的にはフローサイトメーター等を用いた細胞選別により血液中から癌細胞を直接取得することを目標としており、これにより、侵襲性の低い組織診断が可能になると期待される。
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