2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌由来癌幹細胞の生存・増殖・分化・遊走における脂肪組織の役割とその制御機構
Project/Area Number |
22590740
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松延 亜紀 佐賀大学, 医学部, 助教 (40566105)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
|
Keywords | 肝癌幹細胞 / 脂肪組織 / 癌幹細胞-間質細胞相互作用 |
Research Abstract |
HepG2肝癌細胞株を用いて、CD133陽性細胞をマイクロビーズ法により単離し、肝癌幹細胞と同定した。ヒト脂肪組織を、皮下脂肪組織、内臓脂肪組織[大網、腸間膜]より採取し、細切したのち得られた脂肪組織片をコラーゲンゲルに包埋し、3次元培養を行った。コラーゲンゲル上に、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞を50万個ずつ播種し、脂肪組織片の共培養群と、単独培養群を作製し比較検討した。我々のこれまでの知見では、HepG2肝癌細胞株は内臓脂肪組織との共培養にて高率にアポトーシスが誘導され、増殖が抑制されるが、皮下脂肪組織との共培養ではこれらの現象は誘導されない。すなわち、内臓脂肪誘導性の脂肪毒性が誘導されることを確認している。一方、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞を用いると、脂肪組織片との共培養群では増殖が抑制され、脂肪組織の部位による明瞭な相違は観察されなかった。また、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞の明らかなゲル内浸潤は観察されなかった。以上の知見は短期間の培養であり、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞の浸潤や遊走に関しては長期培養系での検討が必要と考えられる。現時点での解析では、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞は、脂肪組織により増殖が抑制される傾向にあったが、浸潤、遊走には変化が見られなかった。次年度は、他の肝癌幹細胞マーカーであるCD44陽性の細胞を用いて再検討する。さらに、肝癌幹細胞の自己複製能、癌細胞産生能の解析を行い、未分化性の評価を行う予定である。
|