2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌由来癌幹細胞の生存・増殖・分化・遊走における脂肪組織の役割とその制御機構
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22590740
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松延 亜紀 佐賀大学, 医学部付属病院, 助教 (40566105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部・病因病態科学講座, 教授 (80188755)
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Keywords | 肝癌幹細胞 / 脂肪組織 / 癌幹細胞-間質細胞相互作用 |
Research Abstract |
HepG2肝癌細胞株を用いて、CD133陽性細胞をマイクロビーズ法により単離し、肝癌幹細胞と同定した。ラット脂肪組織を、皮下脂肪組織、内臓脂肪組織[大網、腸間膜]より採取し、細切したのち得られた脂肪組織片をコラーゲンゲルに包埋し、3次元培養を行った。コラーゲンゲル上に、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞を30万個ずつ播種し、脂肪組織片の共培養群と、単独培養群を作製し比較検討した。単独培養群において、培養開始後は、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞はCD133陰性HepG2肝癌細胞よりも増殖が遅く、一週間の培養でほぼ同程度となる。一方、脂肪組織との共培養群では、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞の方がCD133陰性HepG2肝癌細胞よりもより強く増殖が抑制された。あきらかなゲル内への浸潤像はいずれの培養群でも認められなかった。免疫組織化学的検討では、EカドヘリンはCD133陽性/陰性細胞の単独培養群でいずれも部分的に発現を認めていたが、脂肪組織との共培養では発現が減弱する傾向にあった。FilaminAは、CD133陽性/陰性細胞の単独培養では同程度に発現していた。CD133陽性細胞に関しては、内臓脂肪組織との共培養では発現が軽度抑制され、皮下脂肪組織との共培養で発現が亢進していた。一方CD133陰性細胞に関しては、内臓脂肪組織との共培養で発現は変わらず、皮下脂肪組織との共培養で発現が軽度減弱していた。Cleavedc aspase-3でアポトーシスを検討したが、発現はほとんど認められなかった。 平成23年度の解析では、CD133陽性HepG2肝癌幹細胞は、ラット脂肪組織により増殖が抑制される傾向にあり、遊走に関しては内臓脂肪組織と皮下脂肪組織における動態に相違が認められ、さらなる検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD133陽性肝癌幹細胞のpopulationは3-4%にとどまり、一度に行える実験が限られている。他のcell lineでの採取を試みたが、さらにpopulationが低く、3群間での比較ができるほどの細胞を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
SCIDマウスを用いてCD133陽性肝癌幹細胞と陰性肝癌細胞を移植し、増殖能の相違、癌細胞の未分化性維持および自己複製能を検討する。また、Western blotを用いて遊走能に関する分子の検索、ELISA法によりadipokine等を測定し、CD133陽性/陰性細胞が脂肪組織に与える影響についても検討する。
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Research Products
(3 results)