2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓-腸管自然免疫細胞サーキュラーの破綻による自己免疫性肝臓炎症の本体
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22590744
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中本 伸宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40383749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40245478)
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Keywords | 免疫学 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
昨年度の検討において、6-8週齢雄性C57BL/6マウスにConcanavalinA(ConA)を静脈内投与し急性肝障害を惹起したところ、投与12時間後に肝臓内にTNF-α産生能を有するCCR9陽性CDllb+F4/80+マクロファージが著増することを見出した。In vitroの検討においてもCCR9陽性マクロファージは高い抗原提示能とTh1への分化誘導能を有し、本細胞がConA惹起急性肝障害の病態形成に重要な役割を担っている可能性が示唆された。 本年度は本細胞群のConA惹起急性肝障害病態形成における役割を明らかにするために、CCR9欠損マウスを用いて検討を行った。CCR9欠損マウスにおいてConA肝障害は生化学的、組織学的に有意に抑制された。さらに急性肝障害病態形成におけるCCR9陽性マクロファージの直接的な関与を証明するために次の検討を行った。すなわち、野生型マウスにConAを投与後、CCR9陰性plasmacytoid dendritic cell(pDC)、CCR9陽性pDC、CCR9陰性マクロファージ、CCR9陽性マクロファージの4分画を分離し、各分画をConA投与前にCCR9欠損マウスに移入し、肝障害の程度を検討した。非常に興味深いことにCCR9陽性マクロファージを前投与した群でのみ肝臓内のCDllb陽性マクロファージが増加し、他の3群では集積を認めなかった。その結果、CCR9陽性マクロファージを前移入した群でのみ組織学的および血清学的に少なくとも部分的に肝障害が再現された。以上の検討よりCCR9陽性マクロファージは本モデルにおいて急性期の病態形成において極めて重要な役割を果たすことが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの検討において、おおむね当初の予定どおり、マウスConA惹起急性肝炎モデルにおけるCCR9陽性マクロファージの病因性マクロファージとしての役割をin vivo,vitro両面から明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は今後の臨床応用を目指して、以下の検討を行う。 (1)他の急性肝障害モデルにおけるCCR9陽性マクロファージの役割の検討 α-GalCer急性肝障害モデル、四塩化炭素投与モデル、抗Fas抗体投与モデルの各急性肝炎モデルにおいて、CCR9陽性マクロファージが肝炎発症急性期の病態形成に果たす役割を明らかにする。 (2)抗CCR9抗体および抗CCL25抗体のConA肝障害抑制効果の検討 今後の臨床応用を目指してConA投与直前に抗CCR9抗体/抗CCL25抗体を投与し、肝障害抑制効果を血清学的、組織学的側面から検討する。 (3)ヒト末梢血、肝組織を用いた検討 上記の研究と平行し、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ウイルス性肝炎症例の末梢血、肝組織を用いた検討を行い、将来的な治療応用に発展させたいと考えている。
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