2010 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスのB細胞感染・吸着が惹起する病原性発現機構の解析
Project/Area Number |
22590745
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊藤 敬義 昭和大学, 医学部, 講師 (50317517)
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Keywords | HCV / B細胞異常 / ナイーブB細胞 / EBV再活性化 / B細胞単一クローン増殖 |
Research Abstract |
C型慢性肝炎患者内では、多彩な肝外病変が合併するが、その多くはリンパ増殖性疾患(LPD)や自己免疫異常に代表されるB細胞異常に起因する。これらのB細胞異常発症機序として、HCVがB細胞に感染・吸着し、異常活性化を惹起して可能性がある。HCV感染者での検討で、何らかのLPD関連マーカー異常を伴う患者は全体の74%を占める。更にこの異常はB細胞のHCV感染・吸着に関連し、B細胞トロピズムを持つ、あるいはB細胞表面に親和性の高いHCVがB細胞異常を惹起する可能性が示唆される。HCVのB細胞への結合は特にナイーブB細胞で観察され、ナイーブB細胞表面上のCD81にHCVが結合すると示唆されている。本研究ではC型慢性肝炎患者におけるHCV関連B細胞異常の発症機序を明らかにする。今年度の研究では、C型慢性肝炎患者がB細胞異常を来した結果、体液性免疫能や自然免疫能の低下が既存の免疫下で増殖が抑えられている他のウイルスの再活性化を惹起し、間接的にB細胞異常を来す可能性について検討した。その中でB細胞にトロピズムを持つEBVの再活性化を解析し、HCV感染者の23%にEBV再活性化を確認した。次にHCV感染・吸着がB細胞サブセットに特異性があるかを解析し、ほぼすべてのサブセットでHCV感染・吸着を確認した。中でもナイーブB細胞への感染・吸着HCVが最も多かった。更にB細胞異常を来しているサブセットの細胞内でのB細胞単一クローン増殖(Clonality)の有無を確認しナイーブB細胞ではClonalityが検出されず、ナイーブB細胞の分画、特に活性化B細胞、形質細胞、メモリーB細胞からClonalityが検出された。非ナイーブB細胞でClonalityが観察された患者のナイーブB細胞ではAID発現レベルが高い傾向があった。このことからナイーブB細胞へのHCV感染・吸着が抗原非特異的活性化を惹起し、Clolaity発生に関与している可能性が示唆された。
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