2010 Fiscal Year Annual Research Report
低侵襲解析法による慢性C型肝炎患者の脂質代謝異常に関する研究
Project/Area Number |
22590747
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
池上 正 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40439740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 靖司 東京医科大学, 医学部, 教授 (50209532)
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10468639)
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Keywords | 慢性肝疾患 / C型肝炎ウイルス / 脂質代謝 |
Research Abstract |
当院ならびに研究協力施設から収集した慢性C型肝炎患者(HCV)血清、ならびに健常者(CTL)の対照血清を用いて、交付申請書に記述した方法で誘導体化を行い、LC-MS/MSによる測定に供した。平成22年度においては、健常者55名、慢性C型肝炎患者35名のデータ処理を行った。血清中のコレステロールはHCV群ではCTLに比して有意に低下しており、われわれが調査した健康診断のデータ、あるいは既報と一致していた。現在も血清の集積を続けており、今後母集団のサイズは増大する。平成22年度までの解析で明らかになったのは、Lathosterol(コレステロール合成のマーカー)は、CTL群に比してHCV群で有意に低下していた。また、7α-hydroxy-4-cholesen-3-one(C4:胆汁酸合成のマーカー)、酸化ステロール(27-α-hydroxy cholesterol, 24-sulfar-hydroxy-cholesterol)、Campesterol, Sitosterol(コレステロール吸収のマーカー)はCTL群とHCV群で有意差は認めなかった。上記のバイオマーカーは、コレステロール値で除した値を用いた方が正確にコレステロール代謝を把握しやすいという報告があり、これに基づいて再度解析を行うと、Lathosterolの差は有意ではなくなり、むしろ酸化コレステロールや胆汁酸合成がHCV群では亢進していることになった。吸収についても、有意差はなかったがHCV群では低下している傾向があった。コレステロールはHCV増殖のために必要であり、肝細胞中コレステロールの増加に対して、コレステロール吸収をブロックし、酸化ステロールや胆汁酸の形で細胞内のコレステロール貯留を和らげようと生体は反応するために上記のようなマーカーのプロフィールを示すと考えられ、増殖に必要なコレステロールを確保するためにHCV感染自体が細胞中からのコレステロール排泄を抑制しているという仮説をたて、これを証明するために、肝組織中のコレステロール量を測定すべく、現在肝生検標本を用いた評価を準備中である。
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Research Products
(3 results)