2010 Fiscal Year Annual Research Report
PPARγligandによる膵癌に対する抗腫瘍効果-血管新生関連分子発現の解析-
Project/Area Number |
22590753
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野津 司 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (30312367)
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Keywords | PPARgamma / VEGF / 血管新生 / がん細胞増殖 |
Research Abstract |
核内受容体ファミリーの1つであるperoxisome prolieferator-activated receptors(PPARs)は、細胞の増殖・分化や細胞死制御に重要な役割を担うリガンド依存的転写因子である。PPARは最近の研究から癌の増殖や進展にも深く関与することが明らかにされており、新たな癌治療の標的分子として期待されている。一方、血管新生因子は腫瘍の血管形成や転移など悪性化の過程にも関与することが報告されている。本年度には、PPARgamma ligandががん細胞からの血管増殖因子であるVEGF発現に及ぼす影響を検討した。ヒト肺癌細胞PC-14(腺癌)及びRE細(扁平上皮癌)を用いて、PPARgamma ligandによりVEGFの発現に及ぼす影響を検討した。用いた2種類の細胞がPPARgammaを発現していることをRT-PCRで確認した。また、この2種類の細胞ともPPARgamma ligandである、troglitazoneで用量依存性に細胞増殖が抑制されたことから、確かにPPARgamma ligandが作用していることが確認された。Real-time PCRでは、これらの細胞で、troglitazoneは用量依存性にVEGF mRNAの発現を亢進させることが明らかになった。Western blotによりVEGFの蛋白量も増加することが明らかにできた。このVEGF mRNAの上昇はPPARgamma ligandのantagonistでブロックされたことから、PPARgamma依存性であることがわかった。以上の成績はPPARgamma ligandが腫瘍細胞の血管新生因子にも影響を及ぼすことを示唆する。今後更に、他の血管新生関連因子への影響を検討する予定である。
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