2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗エストロゲン剤によるプロトンポンプ輸送の制御―新しい嚢胞線維症の治療法の研究―
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22590757
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 明子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (60402385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (90303651)
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Keywords | CFTR (cystic fibrosis transmembrane conductance regulator) / NHE (Na^+-H^+ exchange) / 単離膵管 |
Research Abstract |
嚢胞線維症(CF;cystic fibrosis)は、CFTR(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)遺伝子変異を原因とする常染色体劣性遺伝性疾患である。CFTRは、上皮膜細胞の管腔膜に発現しcAMPにより活性化されるCl^-チャネルである。CFTR遺伝子変異により、CFTR蛋白の合成、調節機能、あるいはチャネル機能が障害されると、上皮膜を介する陰イオン輸送、水輸送が障害される。そのため粘稠な液が管腔を閉塞し、び慢性細気管支炎、メコニウムイレウス、膵管の嚢胞状拡張、男性不妊、汗の塩分濃度の異常高値、など多彩なCFの病態を引き起こす。一部の慢性膵炎に、CFTR遺伝子の変異および多型が関連していることがわかってきており、CFTRの機能異常によるHCO_3^-輸送障害がその発症に関与していると推定される。膵臓においては、CFTRは膵導管細胞の管腔膜側に発現しており、水とHCO_3^-分泌に必須である。しかし、通常Cl^-チャネルとして機能するCFTRの障害がなぜ、膵液のHCO_3^-分泌の低下さらには酸性化を引き起こすかは不明であった。一方、NHEは膵導管細胞にも存在すると報告されているが、その局在と生理機能の詳細は不明であった。本年では、欧米人のCFTR遺伝子変異の70%を占めるΔF508変異を導入したΔFマウスを作成し、これを用いて、NHE活性を測定することによりその局在とCFTRによる制御機構を明らかにし、CF治療の標的分子としてのNHEの可能性を検討した。しかし、その酸性化のメカニズムの1つとしてNa^+-H^+(NHE)交換体の関与が考えられ、我々は今年度、CFTRに依存するHCO_3^-分泌の低下に加えて、Na^+-H^+ exchanger 3(NHE3)を介するH^+分泌の増加が、膵液アルカリ化障害の原因であることを明らかにした。管腔膜NHEの制御機構が破綻すると膵液が酸性化すると思われる。
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Research Products
(2 results)