2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓がん細胞の低酸素応答におけるCDR2とアンチザイム2の関与とその機序の解析
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22590759
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
村井 法之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60300927)
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Keywords | アンチザイム / ポリアミン / 膵臓がん / 低酸素 |
Research Abstract |
1.AZ2抗体の作製について 現在販売されている3種のAZ2抗体を全て購入し数種の培養細胞の細胞抽出液に対しウエスタンブロッティング法を行ったが、どの抗体も内在性のAZ2を検出することはできなかった。今後ポリクローナル抗体を作製するか検討中である。 2.膵がん細胞におけるAZ2、CDR2、PHD1の相互作用と機能の関連。 ヒト膵臓腺癌細胞Panc-1などを用いて、細胞内でのAZ2,CDR2,c-Myc,PHD1/2などの相互作用を、HAやFLAGのタグ抗体を用いたプルダウンアッッセイにより解析している中で、新たにAZ2がc-Mycと相互作用することを発見した。ポリアミンの律速酵素であるODCはc-Mycはのターゲットであり、またAZ2はODCに結合しプロテアソームによるユビキチン非依存的分解を促進する。AZ2とc-Mycが相互作用することはポリアミン代謝や細胞増殖および癌において非常に興味深いと考えられたため、これらの相互作用についてc-Mycの分解に焦点を絞り解析した。その結果AZ2は細胞内においてc-Mycの分解を促進することが明らかとなった。この分解はc-Mycのユビキチン依存的分解に重要なc-Myc上の2つのリン酸化部位(T58およびS62)をアラニンに置換したc-Mycも分解促進したことから、ユビキチン非依存的であることが明らかとなった。加えて、この分解は内在性のc-Mycについても起こること、ポリアミンにより促進されることが明らかとなった。ポリアミンによるc-Mycの分解促進は、siRNAによりAZ2をノックダウンした細胞では明らかに抑制された。現在Panc-1細胞などを用いて低酸素条件におけるc-Mycの分解にAZ2が関与しているか解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画研究を遂行している中で新たな発見があり(研究実績参照)、かつそれが本研究課題にも関連があり重要であると判断した。そのため研究計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
アンチザイム2がc-Mycの分解のユビキチン非依存的に分解するという新たな発見があり、このことは非常に興味深く重要である。そのため研究計画を変更し、ヒト膵臓がん細胞の低酸素下におけるc-MycのAZ2による分解の意義につての解析を行う。これらの解析の中でHIF1αやPHDなどの低酸素関連因子やCDR2との関連についても解析していきたい。これらの研究計画の変更は本研究課題の範ちゅうにあると判断している。
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