2011 Fiscal Year Annual Research Report
PPARアゴニストが高血圧・糖尿病動物モデルの心脂質量・心機能に与える影響の検討
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22590770
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 和久 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20251233)
関 常司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30206619)
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Keywords | アンジオテンシンII / 高血圧 / 脂質代謝 / 心血管障害 / 腎障害 / PPARγアゴニスト / 心機能 / 活性酸素 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、ラットへのアンジオテンシンIIの持続投与は、心臓および腎臓に脂質集積を誘導し、脂質集積部位において、スーパーオキサイド産生が亢進していることを明らかにした。今年度の研究では、アンジオテンシンII投与ラットへのPPARγアゴニスト(ピオグリタゾン2.5mg/kg/day)投与が心臓の機能的・形態的障害にどのような影響を与えるかについて検討した。PPARγアゴニスト投与は、アンジオテンシンII投与ラットの心筋において、オイルレッドOで染色される脂質滴の集積を抑制し、心臓組織における中性脂肪含量を減少させた。これらの現象は、PPARγアゴニストによる直接的な心臓における脂質代謝系のmodulationというよりは、血中の脂質プロファイルの改善に伴うものである可能性が考えられた。また、PPARγアゴニスト投与は、dihydroethidiumで染色される心臓におけるスーパーオキサイドの産生も減少し、形態的には心筋壊死とそれに引き続く心臓の線維化を抑制した。さらに、ランゲンドルフ体外灌流モデルにて心機能を解析したところ、PPARγアゴニスト投与は、アンジオテンシンIIラットの心臓の収縮能(+dP/dt)、拡張能(-dP/dt)に対して、非ストレス状態では明らかな影響を与えなかったが、虚血再灌流負荷後では、いずれのパラメータも改善した。PPARγアゴニストの効果を腎臓においても検討した。PPARγアゴニストはアンジオテンシンII投与ラットの腎臓においても組織脂質量を減少し、蛋白尿を抑制した。PPARγアゴニストの心・腎保護作用の一部は、これらの臓器への鉄の集積の抑制とヘムオキシゲナーゼ-1の発現維持が関与している可能性もあるが、今後の検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンジオテンシンII投与により高血圧を発症したラットにたいしてPPARγアゴニストを共投与するモデル作成に成功した。また、目標の一つであるPPARγアゴニストがアンジオテンシンII投与ラットの心臓で認められる脂質集積・superoxideの産生・機能障害に与える影響について論文化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アンジオテンシンII投与ラットにおいて、PPARγアゴニストの投与が、心臓・腎臓に保護的な作用を及ぼすことが明らかになった。以前われわれは、アンジオテンシンII投与が腎内動脈壁に脂質集積を惹起すること、同部位でTGF-β1の発現が亢進していることを報告している。多施設から、PPARγアゴニストが粥状硬化巣における炎症を緩和する可能性や動脈スティッフネスを改善する可能性について報告がなされている。次年度は、PPARγアゴニストが、大動脈における脂質の動態やsuperoxide産生に与える影響について検討を行いたいと考えている。
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Research Products
(6 results)