2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤溶出性ステントによる気絶または冬眠心筋の機能回復に対する阻害作用に関する研究
Project/Area Number |
22590773
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
尾畑 純栄 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (60362076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木山 清貴 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
渡辺 一広 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50535549)
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Keywords | 薬剤溶出性ステント / 内皮機能障害 |
Research Abstract |
薬剤溶出性ステントは期待されていた再狭窄抑制効果のみならず、ステント留置冠動脈の内皮機能障害や、ステント留置後1年以上経過したあとにも超遅発性ステント血栓症を認めるなど、予想外の有害な作用も認めた。溶出した薬剤(免疫抑制剤または抗癌剤)による冠動脈への影響を明らかにすることで、それに対する拮抗作用をもつ新しい薬などの開発につなげることが本研究の目的である。梗塞責任冠動脈の冠動脈内皮機能障害の回復過程にシロリムス溶出ステントが悪影響を及ぼすこと、冠動脈内皮機能障害が遷延する症例では慢性期の左心室収縮能の回復も悪いことはすでに報告した。本研究の対象患者のソースとなっている山梨PCIレジストリーに登録された多くの症例の中から、平成23年度は血管内皮機能障害と各対象症例における臨床イベントとの関連を調べた。上腕動脈の血流依存性血管拡張反応で血管内皮機能障害を認めた症例は、認めなかった症例と比べて観察期間中に有意に腎機能の低下を認めた。この研究では血管内皮機能障害は他の古典的危険因子とは独立した、腎機能増悪の予測因子であることが分かった。また、エントリー時に血管内皮機能障害を伴った心不全症例を対象とした研究では、介入治療後に血管内皮機能が改善した症例では、改善が見られなかった症例と比べて慢性期の心血管イベントが有意に少ないことが分かった。さらにまた、エントリー時に頚動脈内膜中膜厚(IMT)が軽度肥厚している症例(1.1mm以上)を追跡調査した研究では、短期間にIMTの増大を認めた症例で将来の心血管イベントの発症のリスクが高まることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は第一世代薬剤溶出ステント(DES)のシロリムス溶出ステント(SES)とパクリタキセル溶出ステントを対象として開始したが、その後SESが製造中止により使用できなくなった。次いで承認された第二世代DESに対象を広げて検討を行っているところである。DES全体としてはある程度の症例数が確保できたが、それぞれ違う種類のステントを使用しているため、おのおのの症例数をもう少し増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本大学病院を含めて関連施設からのレジストリーへの症例登録は順調に増加しているが、上記の理由などから本研究の対象に該当する症例数が当初予想していたより少なかったため、データ収集が思ったよりはかどっていない状況である。必要症例数を確保するため、引き続きレジストリーの登録を継続し、その中から該当となる症例数を増やしていく予定である。
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Research Products
(5 results)