無症候性肺動脈性肺高血圧症の進展予測と早期治療効果に関する検討

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22590781
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 山田 典一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60303731)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 伊藤 正明 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00223181) ; 中村 真潮 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40293774)
• Keywords: 循環器 / 肺高血圧症 / 運動負荷 / 薬物治療 / 早期介入

Research Abstract

研究目的は無症候性肺動脈性肺高血圧症に対する早期治療介入効果と運動負荷試験による肺動脈圧上昇が肺高血圧症進展の予測法として有用であるかを明らかにすることである。心臓超音波検査を用いたスクリーニング検査にて三尖弁逆流速度から推定した収縮期肺動脈圧より肺高血圧症が疑われた膠原病患者12例に対して右心カテーテル検査を施行し、安静時平均肺動脈圧25mmHg未満であるが運動負荷にて30mmHg以上に上昇した8例と軽度肺高血圧症(安静時平均肺動脈圧25-35mmHg)2例の計10例(平均年齢59.4±7.7歳、女性9例)を対象とした。治療開始前安静時と運動負荷ピーク時の平均肺動脈圧(mmHg)は18.6±7.7から43.9±11.4(p<0.0001)、全肺血管抵抗(dyne・sec・cm^<-5>)は295.6±160.1から468.9±192.7(p<0.05)といずれも有意に増加した。治療介入群(ボセンタンあるいはシルデナフィル)で3ヶ月後の運動負荷右心カテーテル検査を施行した7例では、安静時平均肺動脈圧(mmHg)は治療前後で18.3±8.3から20.0±8.2(n.s.)と変化がなかったのに対して、運動負荷ピーク時の全肺血管抵抗(dyne・sec・cm^<-5>)は治療前後で576.2±289.2から443.7±224.2(p<0.05)と有意に低下していた。今後症例数を増やし、さらに1年後のデータ収集解析を継続する予定であるが、現時点ではいわゆる境界領域肺高血圧を含む無症候性肺動脈性肺高血圧症に対する早期治療介入は病態進行を防止できる可能性が示唆された。