2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病合併冠動脈疾患患者における,心拍低下療法の妥当性を問う観察研究
Project/Area Number |
22590788
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
井上 卓 琉球大学, 医学部附属病院, 特命助教 (00537102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 真一郎 琉球大学, 医学研究科, 教授 (80285105)
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Keywords | 心拍数 / 冠動脈疾患 / 二次予防 / 予後 |
Research Abstract |
欧米の冠動脈疾患患者のランダム化比較研究は、積極的脂質・血圧低下療法が予後を改善することを示しており、欧米では治療の標準とされている。コホート研究の結果は、心拍数と心血管危険因子、心血管疾患発症および死亡との関連を示している。さら高心拍数は、酸化ストレス、炎症マーカー、血管内皮機能、プラークボリュームおよび粥腫破錠と関連を有し、動脈硬化の形成に深く関与している。β遮断薬を用いた心拍低下療法は、心不全および虚血性心疾患患者における標準治療とされており、心筋梗塞後の患者では、心拍数10bpm減少毎に心臓死を30%減少させる。さらに動物実験では、心拍低下療法により酸化ストレスおよび血管内皮機能が改善する事が示されている。BEAUTIFUL研究は、心拍低下療法は交感神経とは独立して虚血性心疾患患者の予後改善し、心拍数自体が治療の対象になり得ることを初めて示した。これらのエビデンスにもかかわらず、本邦における虚血性心疾患患者でのβ遮断薬の使用率は約30%程度と低く、現実の臨床現場では専門医に心拍数管理の重要性は認識されていない。またリスク管理の指標としての至適心拍数レベルは未だ確立されていない。これらを背景として、本研究では、日本人糖尿病合併冠動脈疾患患者の観察開始時の心拍数が、対象者の予後に独立して関連することを目的としている。またこれらを元に、リスク管理の指標としての至適心拍数レベルの確立を目指す。平成22年度にCRCによる患者登録作業を継続して行い、連携施設で冠動脈造影検査を行った糖尿病合併冠動脈疾患患者3018症例を登録した。平行して連携施設数の拡大を行い、平成23年3月現在で19施設の協力を得ている。また政策科学専門家による臨床研究計画全体の効率的な支援を受けることで、研究を継続して行う基盤を整備するこが可能となった。また連携施設で定期的にミーティングを行った。さらに登録時データの解析を行い、結果を連携施設ミーティングで公表した。
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