2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮前駆細胞の起源、分化過程及びその血管生物学的機能特性の体系的解明
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22590796
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
増田 治史 東海大学, 医学部, 准教授 (50278496)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / 血管再生 / 分化動態解析法 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
1)血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell=EPC)の分化動態解析法(EPCコロニーアッセイ)を開発した。本手法を用いて、臍帯血造血幹細胞分画(CD133+細胞)のEPC分化段階における表現型を解析した。その結果、(1)未分化型、分化型コロニー形成性の各EPC,さらに分化したコロニー非形成性EPCに形態学的分類が可能なこと、(2)分化に伴い血管形成、再生能が上昇することが判明した。 2)そこで、上記方法を用いて臍帯血単核球中の造血幹細胞分画(CD34+細胞)及びCD34-細胞分画についてEPCコロニー形成能を検討した。CD34+細胞分画にコロニー形成性EPCが、CD34-細胞のCD14+細胞分画にコロニー非形成性EPCが存在し、EPCは分化に伴いCD34抗原性を失うことが判明した。 3)さらに、分化過程上流のCD34+細胞分画中のEPC分化度を同様に探索した。CD34+細胞をCD133及びCD38抗体を用いて、A(CD133+/CD38i),B(CD133+/CD38+),C(CD133-/CD38+)の3つの細胞分画に分類した。未分化造血幹細胞分画のCD34+/CD38-細胞は100%がCD133+細胞であった。また、B分画をB1(CD38弱陽性)、B2(強陽性)に分類し、各分画のEPC分化度を調べた。EPC分化度は、A=2.7%,B1=16.3%,B2=29.3%あり、C分画からはEPCが産生されなかった。これは、EPCの起源がCD34+/CD133+分画のCD38-細胞分画に存在し、未分化段階ではCD34+/CD133+抗原を保持し、CD38の発現が上昇するにつれて分化が進むことを示す。その後、コロニー非形成性EPCとしてCD34-/CD133-/CD14+に分化するが示唆された。 4)以上の結果は、血管再生医学における世界で初めての研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22、23年度において、EPC起源の同定及びその分化に伴う表現型及び機能の相違の探索という、当初、最も困難かつ時間を要すると想定された本研究計画の基盤研究目標が達成された。従って、最終年度において、EPCの分化過程における、さらに詳細な細胞表面抗原変遷の体系的解明及びプロファイリングについて十分達成可能であり成果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)騰帯血EPC起源分画(CD34+/CD133+/CD38-分画)を採取し、最近、開発した分化増幅培養法を用いてEPCを段階的に分化させ、EPC分化動態解析法により分化段階の分類を行う。細胞生物学的及び分子生物学的アッセイによるプロファイリングを行い、in vitro,in vivoアッセイ系にて分化段階の機能相違を確認する。 2)この結果に基づき、末梢血中の単核球、CD34+細胞のプライマリー細胞中における各分化段階EPCを検出し、単核球中のそれら陽性率を探索する。これにより、今後、EPC生物学を基盤にした末梢血EPC分化動態解析による血管再生/修復能評価系の開発に繋げる。
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Research Products
(9 results)