2012 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動リスク因子(メタボリック症候群・心房拡大)における心房炎症機構の解明
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22590804
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
笹野 哲郎 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (00466898)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 心房細動 / マクロファージ / 炎症 / 伸展刺激 / ATP |
Research Abstract |
(目的) 心房細動はメタボリック症候群や加齢・心不全・心房拡大に合併することが多いと報告されているが、これらのリスク因子と心房細動の直接的な因果関係は解明されていない。メタボリック症候群では全身の軽微な炎症があること、炎症が心房細動の危険因子であることから、心房の炎症は重要なファクターであると考えられる。本研究では、心不全・心房拡大における心房炎症のメカニズムを解明し、心房細動に対する新たなアップストリーム治療のターゲットを探索することを目的とした。 (方法・結果) シリコンチャンバーとボイデンチャンバーを用いて心房筋細胞とマクロファージを共培養し、心房筋細胞に伸展刺激を加えると、マクロファージは心房筋細胞に向かい遊走した。この現象は、ATP分解酵素、P2レセプター阻害薬の投与により抑制され、細胞外ATPが遊走因子と考えられた。心房筋細胞に伸展刺激を与えて細胞外ATPを測定すると、一過性の濃度上昇がみられた。このATP放出とマクロファージ遊走は、ギャップジャンクションチャネル阻害薬により抑制され、さらに心房筋細胞に発現するギャップジャンクションファミリーチャネルであるpannexin-2のノックダウンによっても抑制された。 続いてマウスを用いて心房伸展モデルを作成した。大動脈縮窄術により心房に圧負荷を与えると、心房にマクロファージの浸潤が見られた。その後炎症性サイトカインの発現と心房の線維化が生じ、心房頻拍が誘発可能となった。これらはすべてギャップジャンクションチャネルの阻害薬によって抑制された。 (考察)本研究により、心房伸展の際に心房細動が発症するメカニズムの一端が解明できた。心房伸展刺激における心房の炎症には、pannexin-2を中心とするギャップジャンクションファミリーチャネルから放出されたATPが中心的な役割を果たしており、今後心房細動の治療標的として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(15 results)