2011 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞とTh17を標的とした心血管炎症性疾患の治療
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22590805
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小玉 誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10242447)
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Keywords | 実験的自己免疫性心筋炎 / Fucoidan / ヘム / danger signal / 心筋炎後拡張型心筋症 / PDE阻害薬 / 肥満細胞 / curcumin |
Research Abstract |
薬物を用いて実験的自己免疫性心筋炎に対する発症抑制効果と治療効果を検討し、自己免疫性心筋炎の発症機序を解明する。特にTH1/Th2/TH17バランスを評価し、その選択的遮断を試みる。 実験的自己免疫性心筋炎はCD4-T細胞が心筋間質に侵入し、心筋ミオシンに反応して活性化し様々な炎症性細胞を血管外へ遊走させることによって引き起こされる。したがって、T細胞および炎症性細胞の血管外への遊走が重要である。フコイダンは血管内皮細胞のセレクチンを非特異的に遮断するため、炎症性細胞の血管外への遊走を抑制する可能性がある。フコイダンを用いて実験的自己免疫性心筋炎の発症抑制効果を検討した。フコイダン投与により、心筋炎病変を縮小し、左室機能を保持し、CD4-T細胞の浸潤を抑制することができた。 フォスフォジエステラーゼ3と4(PDE3,4)を阻害するphenylpyridazinoneの心筋炎後拡張型心筋症に対する効果を検討した。心筋ミオシンの感作によりラットに実験的自己免疫性心筋炎を発症させ、急性期が過ぎてからphenylpyridazinoneを投与した。PDE阻害薬により心筋の線維化病変が縮小し、3型コラーゲン量を減少させた。TGF-βとTNF-αのmRNA発現を抑制し、肥満細胞の頻度を減少させ組織ヒスタミン濃度を減少させた。この結果、心筋細胞の肥大が抑制され、心筋炎後拡張型心筋症への進展抑制効果があるものと考えられた。 これまでに実験的自己免疫性心筋炎とヒト心筋炎では心筋組織においてlipocalin-2とhepcidinが発症早期から強発現することを確認した。いずれも細胞内鉄代謝に重要な分子である。炎症による組織障害によって流出するヘムが心臓在住マクロファージを強力に活性化し、サイトカイン分泌を刺激し、炎症の増幅に関与していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的自己免疫性心筋炎の発症機序の解析と治療法の検討は進んでいるが、Th17遮断に関する検討が進んでいない。研究室の引越しや縮小などのハード面の問題があったが、ようやく落着した。
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Strategy for Future Research Activity |
Th17遮断療法に焦点を絞る。
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