2011 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型及び拡張型心筋症の網羅的遺伝子解析によるテーラーメード治療の確立
Project/Area Number |
22590808
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤野 陽 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40361993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 研至 金沢大学, 附属病院, 助教 (00422642)
山岸 正和 金沢大学, 医学系, 教授 (70393238)
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Keywords | 肥大型心筋症 / 拡張型心筋症 / 遺伝子 / 遺伝学 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
本年度は心筋症、特に肥大型心筋症の遺伝子解析にて変異を検出したサルコメア遺伝子変異保因者について、臨床病態の解明に取り組んだ。 その結果、119名もの多数の変異保因者について、臨床病型や死亡要因を検討することができた。119名の変異保因者の内訳は、心筋ベータミオシン重鎖遺伝子が16名、心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子が40名、心筋トロポニンT遺伝子が14名、心筋トロポニンI遺伝子が49名であった。心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子変異保因者が多く認められるのは全国的、かつ世界的に共通の現象であるが、心筋トロポニンI遺伝子変異保因者が多く認められるのは北陸地方、特に石川県を中心とした地域特有の現象であることが再認識された。これらの遺伝子変異保因者をミオシン群(心筋ベータミオシン重鎖遺伝子および心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子変異保因者)56名、トロポニン群(心筋トロポニンTおよびI遺伝子変異保因者)63名に群分けして検討した所、左室駆出率50%未満の左室収縮不全に伴う死亡は、トロポニン群でより早期に認められることを明らかにした。 以上の結果より、サルコメア遺伝子変異保因者の中でもトロポニン群に属する症例では、より早期に収縮不全を検出・治療することが重要であることが明らかとなり、テーラーメード治療の推進に一歩近づいた。この結果を2011年11月に米国オーランドで開催されたAmedcan Heart Association's Scientific Sessionsで発表した所、高く評価された。他にも、遺伝子変異を有する家族性高コレステロール血症患者における最適な治療に関する研究(Am J Cardiol.109:364-369.2012)や、心臓や副腎におけるNR4AやNR5A1などの核内受容体遺伝子の役割に関する研究(J Hypertens.29:1185-1195.2011)も行い、成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
119名もの多数のサルコメア遺伝子変異保因者について、臨床病型や死亡要因を検討することができた。2011年11月に米国オーランドで開催されたAmedcan Heart Association's Scientific Sessionsにおいて研究結果を発表した所、高く評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床病型を解明することができた119名を含めて、現時点で157名の遺伝子変異保因者を特定することができた。これら157名に関して、特に左室駆出率が50%未満となる左室収縮不全発症年齢を検討している。心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子変異保因者については、それ以外の遺伝子変異保因者と比較して左室収縮不全発症年齢が高い傾向にあることが示されつつある。今後、この研究結果をまとめて、英文誌に投稿する準備を進めていく予定である。
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