2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス感受性カルシウムチャネルTRPM2の心不全発症における意義の解明
Project/Area Number |
22590810
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 靖章 京都大学, 医学(系)・研究科(研究院), 助教 (70452357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 宏一郎 京都大学, 医学(系)・研究科(研究院), 講師 (30402887)
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Keywords | 分子心臓病態学 |
Research Abstract |
本研究は、酸化ストレス感受性カルシウムチャネルTRPM2について、その心筋リモデリング過程における心肥大、心筋細胞死、心機能低下への関与について検討し、病的心筋リモデリング、心不全発症に対する新規治療標的としての可能性を明らかにし、TRPM2を標的とした新規治療法の開発を目指すものである。本年度は前年度に引き続き、以下の実験を行った。(1)アンギオテンシンII投与TRPM2ノックアウトマウスにおける遺伝子発現変化を評価したところ、ノックアウトマウスではANPやBNPなどの肥大に関連する遺伝子発現が抑制され、また組織像において線維化には有意な影響は認めなかった。ただ、TRPM2ノックアウトマウスにおいて血圧の上昇が軽度である可能性有り、再評価中である。(2)TRPM2ノックアウトマウスにおける大動脈結紮モデルや優性抑制変異型NRSF過剰発現マウスとの掛け合わせの解析については現在も解析中である。さらに、平成23年度の研究計画に則り以下の実験を進めた。(1)新生仔ラット培養心筋細胞などを用いてTRPM2の心負荷シグナルにおける役割を解析したが、TRPM2の過剰発現によりcalcineurir NFAT系のシグナルの亢進の可能性が示唆され、またTRPM2阻害薬によりそれが抑制される可能性が示唆された。siRNAを用いたノックダウン実験を予定していたが導入効率やオフターゲット効果などに難あり現在条件検討中である。蛍光色素を用いた細胞内酸化ストレス及び細胞内カルシウム濃度変化解析などについては現在進行中であり来年度も継続して行う予定である。(2)cGMP-CGK経路とTRPM2とのシグナルクロストークについては、主にGCA-KOとTRPM2ノックアウトマウスの掛け合わせを進め、GCA-/-,TRPM2-/-が生まれつつあり、GCA-/-,TRPM2+/+との比較により肥大に対するTRPM2の役割について検討を行う予定である。さらに、GCAノックアウトマウスと、開発が遅れているTRPM2トランスジェニックマウスとの掛け合わせにより、GCA系とTRPM2とのシグナルのクロストークについての評価を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物施設の感染により心臓特異的TRPM2過剰発現マウスの作製が予定より遅れたが、近日できあがる予定である。その他については、概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化ストレス感受性カルシウムチャネルTRPM2について、その心筋リモデリング過程における心肥大、心筋細胞死、心機能低下への関与について検討し、病的心筋リモデリング、心不全発症に対する新規治療標的としての可能性を明らかにし、TRPM2を標的とした新規治療法の開発を目指すものでああり、実験計画に則って、実験を進めて行く予定である。動物飼育スペースの確保が困難となってきているため、動物実験については種々のマウスとの掛け合わせや動物モデルについては、同時並行は困難な状況ではあるが、順次進めていく予定である。
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