2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞間接着を標的とした動脈硬化治療戦略開発のための基盤研究
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22590828
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
力武 良行 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50419488)
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Keywords | Necl-5 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / シグナル伝達 / 血管内皮増殖因子 |
Research Abstract |
動脈硬化は慢性の血管炎症であり、血管内皮細胞間に発現する細胞接着分子は炎症細胞の内皮下への浸潤に重要な役割を果たしている。血管内皮細胞は、細胞膜に発現する受容体やインテグリンなどの細胞接着分子を介して、シグナルを細胞内へ伝達するとともに、隣接する血管内皮細胞や炎症細胞と接着して相互にシグナルの授受を行い、血管炎症や血管新生を調節している。私どもは、血管新生における免疫グロブリン様分子Necl-5の役割について検討した。Necl-5は毛細血管の内皮細胞に発現していた。大腿動脈結紮による下肢慢性虚血モデルにおいて、Necl-5ノックアウトマウスでは、対照マウスに比べて下肢血流の回復が遅延しており、血管新生が減弱していた。Necl-5は、血管内皮増殖因子(VEGF)に応答したVEGF受容体とインテグリンalphaV beta3との相互作用を制御して、細胞内シグナルのRap1-ホスファチジルイノシトール3キナーゼ-Aktシグナル伝達経路の活性化を調節していた。Necl-5は、VEGFに応答した血管内皮細胞の管腔形成、遊走、増殖、生存を制御していた。さらに、Necl-5は、動脈においては平滑筋細胞に発現しており、総頸動脈結紮後の肥厚した新生内膜において、その発現が上昇していた。また、FGD5という分子が血管内皮細胞に特異的に発現しており、VEGFに応答したCdc42やMAPキナーゼ(extracellular signal-regulated kinase)の活性化を制御し、血管内皮細胞の管腔形成や遊走、増殖、透過性を調節していることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、血管新生におけるアファディン、Necl-5、FGD5の役割を解明し、その研究成果を論文発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、残っている課題である動脈硬化におけるNecl-5の役割に関する研究を推進する。
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