2011 Fiscal Year Annual Research Report
小腸ホルモン、インクレチンを用いた糖尿病性大血管障害の治療戦略
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22590831
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡部 琢也 東京薬科大学, 生命科・科学部, 教授 (30297014)
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Keywords | インクレチン / 動脈硬化 / マクロファージ / 泡沫化 / CD36 / ACAT-1 |
Research Abstract |
【目的】小腸から分泌されるインクレチンにはGLP-1とGIPの2種類あるが、血中のDipeptidyl Peptidase-4(DPP-4)によって分解されてしまうため、標的臓器(主に膵臓)に到達する際には激減してしまう。最近開発されたDPP-4阻害剤(Vildagliptin)をApoE欠損マウスに投与し、内因性インクレチンを増加させ動脈硬化の進展を抑制できるかどうかを検討した。 【方法】17週齢の雄性ApoE欠損マウスを高脂肪食餌摂取下で、Vildagliptin Analogue(100μg/kg/day)またはVehicleを4週間経口投与した。各群とも21週齢時に採血並びに大動脈を採取し、大動脈全体をOil Red O染色にて動脈硬化病変の総面積を測定し、大動脈弁輪部をOil Red OまたはMOMA2染色にてプラークサイズやマクロファージの浸潤度を評価した。更に、腹腔マクロファージを採取後、酸化LDLによる泡沫化を評価した。 【結果】Vildagliptin Analogueは、血中GLP-1およびGIP濃度を2-3.5倍に増加させ、大動脈の動脈硬化病変面積を半減させ、大動脈弁輪部のプラークサイズおよびマクロファージ浸潤度も30%、40%減少させた。同薬剤は、マクロファージにおけるCD36およびAcyl-CoA:Cholesterol Acyltransferase-1(ACAT-1)発現を抑制し、酸化LDLによる泡沫化を40%抑制された。同薬剤には体重および血中総コレステロール濃度を減少させる作用も認められた。 【結語】DPP-4阻害剤は内因性のGLP-1およびGIPを有意に増加させ、マクロファージでのCD36/ACAT-1発現抑制を介し泡沫化を抑制することにより動脈硬化の進展を顕著に抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に則り、着実に実行している。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験とともに臨床研究を進めて、申請書通りの内容を完全に遂行する。
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