2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性炎症性気道疾患の難治化におけるキチナーゼ関連蛋白質の作用機序の解明
Project/Area Number |
22590839
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 久子 京都大学, 医学研究科, 助教 (60359809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 豊 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10441247)
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
伊藤 穣 京都大学, 医学研究科, 助教 (80362482)
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Keywords | 慢性炎症性気道疾患 / アレルギー・喘息 / キチナーゼ関連蛋白質 / YKL-40 / ステロイド低感受性 / 気道過分泌 / 加齢 |
Research Abstract |
慢性炎症性気道疾患の難治化におけるキチナーゼ関連蛋白質YKL40の関与について、平成23年度には気道平滑筋細胞に対するYKL40の役割を中心に検討した。(1)YKL40の300ng/ml72時間刺激にて気道平滑筋細胞数・MTT assayによる増殖能は非刺激平滑筋細胞に比し有意に亢進した。気道炎症細胞においてはYKL40が好酸球よりも好中球、マクロファージで発現していることから非好酸球性気道炎症下での気道平滑筋細胞増殖の機序を説明する結果と考えられた。一方、YKL40刺激下で、TGF-β1、Collagen Iなど線維化に関わる因子のmRNA発現を検討したが、増加する傾向にとどまった。(2)線維蛋白質以外の主要な細胞外基質であるproteoglycanについて、気道平滑筋細胞からの産生能を検討した。蛋白質レベルで解析すると、YKL40の300ng/ml72時間刺激により一部のproteoglycanが増加し、一部が低下する傾向が認められた。このproteoglycanの変化のパターンは喘息患者由来気道平滑筋細胞の産生パターンに近似しており、検討を継続している。(3)YKL40の加齢関連蛋白質としての役割について、臨床検体での検討を継続した。治療下安定期成人喘息例において、YKL40の血清値が末梢気流閉塞の程度と中等度に、"息苦しさ"の程度と弱い相関をとることが示された。 本年度はYKL40と気道平滑筋増殖促進作用を明らかにしたが、さらにproteoglycan産生パターンの変化との関連を解析している。前年度と同様に、臨床的には加齢を軸とした気道疾患の難治化に関与する可能性を示し、研究課題の一部を達成したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年1月にフランスのグループから、YKL40による気道平滑筋細胞増殖作用についてAm J Respir Crit Care Medに発表された。我々の系の妥当性を示すものであるが、YKL40の役割解析について、若干の軌道修正を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外基質蛋白質の中でもproteoglycanの産生パターンの変化に関与している可能性が示唆されているため、これを明らかにする。結合実験についても平行して行う。
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Research Products
(6 results)