2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺動脈原発血管内肉腫の発症機序解明および造血幹細胞分離・臨床応用への可能性
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22590851
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80431740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 浩一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10207061)
笠原 靖紀 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60343092)
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Keywords | 非閉塞性肺疾患癌 / 肺線維症 / 呼吸器感染症 / 肺動脈原発血管内肉腫 |
Research Abstract |
悪性細胞発症機序解明のために、肉腫様細胞をその起源である筋線維芽様細胞と比較した。肉腫様細胞および免疫抑制マウス皮下に形成された同細胞による腫瘍細胞から、RNeasy Mini Kit (Qiagen社)によりRNAを抽出する。そして肉腫瘍細胞を分離した源である筋線維芽様細胞からも同様にRNAを抽出し、これをコントロールとしてマイクロアレイ解析を施行した。肉腫細胞や腫瘍細胞は、筋線維芽細胞に比しcancer/testis antigen 1Aやmelanoma antigen familyA6,B2などの悪性疾患特異的遺伝子が著名に上昇していた。またcollagen type I alpha, matrix-remodeling associated 8など接着因子に関連する遺伝子が顕著に低下していた。これらの遺伝子が、形質変化に寄与するかどうかを今後アデノウイルスベクターなどによる遺伝子導入あるいはsiRNAなどによる遺伝子knock downを行い確認する。また同腫瘍細胞は肺動脈の新生内膜由来であり、これらの細胞が血管内でどのように進展するかを確認することで、肺動脈原発血管内肉腫(intimal sarcoma)の進展メカニズムを解明できる可能性がある。そこで、同細胞を免疫抑制マウス尾静脈より静注しその進展経過を確認した。静注1週間後より、同細胞は肺動脈壁に生着し、肺動脈内膜に沿う形で進展していった。腫瘍細胞はまず血管内で増殖し、その後血管外に進展していった。一般に上皮系の癌細胞は血管内皮細胞に単独で生着出来ず、癌関連線維芽細胞を従い生着する。その後血管内では進展せず、間質内で増殖進展する。この肉腫細胞は、血管内皮細胞に生着し血管内で増殖する能力を有しており、明らかに癌細胞とは異なる。現在人由来の間葉系細胞マーカーで染色することで、経時的にどのように進展するかを確認している。また内皮細胞に対する特有の接着因子の発現が予測されるため、マイクロアレイ結果を考慮し、それらの遺伝子の確認をしている。将来的にはそれらの遺伝子をknock downし、腫瘍の血管内進展を抑制できるかを検討する。
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Research Products
(7 results)