2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞蛋白症におけるGM-CSF吸入治療の効果予測因子の解析
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22590852
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田澤 立之 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70301041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80207802)
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Keywords | 肺胞蛋白症 / GM-CSF / GM-CSF抗体 / 気管支肺胞洗浄液 / サーファクタント / AaDO2 / 抗体産生 / クリアランス |
Research Abstract |
抗GM-CSF自己抗体によりおきる自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)に対して,GM-CSF吸入多施設共同臨床試験が行われ,重篤な副作用なく62%の患者で奏効したが不応例もみられた。本研究ではGM-CSF吸入治療の効果を予測できる因子の発見を目的として,本年度はGM-CSF吸入が本症患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)中のバイオマーカーに与える影響を調べるため,94種類のバイオマーカーについてマイクロアナライトシステムでGM-CSF吸入治療研究(吸入総量10.5-21mg,吸入期間12-24週)に参加した10例のPAP患者のBALFを調べた.10例中5例がGM-CSF吸入治療によく反応した高反応群(ΔAaDO2≧13mmHg),5例が低反応群(ΔAaDO2<13mmHg)であった.62種類のマーカーが測定可能な範囲で,17種類が吸入治療により増加したが有意差はなく,他の45種類では吸入治療による変化はなかった.9種類のマーカーで吸入治療前の値がAaDO2の改善と相関を認めた.このうち相関計数の高かったIL-17(0.756)とCA125(0.731)についてaPAP肺における局在と産生を確かめるため,aPAP患者肺組織の免疫染色を行い,肺胞マクロファージと肺胞内のリンパ球様単核球でのIL17の発現と,繊毛上皮でのCA125の発現を確認した.さらに高反応群10例,低反応群9例のBALFのELISAでは,治療前IL17は高反応群では低反応群に比べ高い傾向があり,治療後に高反応群で有意に増加した.CA125も同様の結果であった.気管支喘息でも肺胞マクロファージがIL-17を産生することが報告されており,IL-17はマクロファージ機能に関わる可能性がある.またCA125が繊毛上皮に発現することから,繊毛上皮が下気道のサーファクタントクリアランスに関与する可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では肺胞蛋白症に対するGM-CSF吸入治療の効果を予測できる因子の発見を目的として,昨年度および本年度にかけて,血清および気管支肺胞洗浄液における,抗GM-CSF抗体および各種バイオマーカーの推移および治療効果との関係の解析を行い所期の結果をえている。
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Strategy for Future Research Activity |
進行中のGM-CSF吸入治療患者データの解析を継続する.臨床所見,血清マーカー,気管支肺胞洗浄液,BAL細胞の各因子について治療中の経過および治療効果・治療後経過との比較に加えて,治療終了後の予後調査を行い,その結果も含めて解析する.また有望な候補因子について肺胞マクロファージや気管支上皮細胞の培養系でのin vitroでの解析を検討する.
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