2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590853
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
花岡 正幸 信州大学, 医学部, 准教授 (20334899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 正穂 信州大学, 医学部, 准教授 (50115333)
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Keywords | 高地肺水腫 / ゲノム / マイクロサテライト / CLCNKB遺伝子 / 単塩基多型 |
Research Abstract |
【背景】高地肺水腫(HAPE)は、急速に高地に到達することにより発症する非心原性肺水腫である。その発症機序は十分に解明されておらず、遺伝的素因が関与する可能性も指摘されている。HAPE既往者と非発症者において、マイクロサテライト(MS)マーカーを用いた網羅的遺伝子解析を行った。さらに、両群間で有意差を認めた遺伝子について、単塩基多型(SNPs)の解析を行った。 【方法】HAPE既往者53名と、健常登山家67名を対象とした。静脈血から抽出したDNAを用いて、400個のMSマーカーによる遺伝子解析を行った。PCR法にて遺伝子を増幅したのち、シークエンス解析を行い、両群間の発現頻度を比較した。さらに、MSマーカーによる解析で有意差を認め、HAPEの発症に関与すると考えられた遺伝子群のうち、Cl^-チャネル遺伝子(chloride channel Kb : CLCNKB)のSNPs解析を行った。 【結果】12個のMSマーカーで統計学的に有意差を認めた。9個(DIS468,DIS2697,DIS2785,D4S405,D5S424,D6S257,D12S2638,D16S310,D21S263)は疾患感受性を、3個(DIS230,D14S283,D22S280)は疾患抵抗性を示した。一方、CLCNKB遺伝子の7つのSNPsに関しては、両群間で有意差を認めなかった。 【考察】MSマーカーによる解析において複数のマーカーに有意差を認め、HAPEの発症には種々の遺伝子が関与する可能性が示唆された。HAPEの発症に、肺の電解質や水分バランスの異常が指摘されているが、CLCNKB遺伝子のSNPsに関しては両群間で有意差を認めなかった。今後、他の候補遺伝子に関して解析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロサテライトマーカーによる網羅的な遺伝子解析は終了している。今回検討したCLCNKB遺伝子以外にもHAPE発症に関連する複数の遺伝子が推定されており、今後はそれら遺伝子のSNPs解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討では、HAPE発症群とHAPE非発症群との間で、12個のマイクロサテライトマーカーに統計学的な有意差を認めた。CLCNKB遺伝子のSNPs頻度は両群間で有意差を認めなかったが、これ以外に複数の候補遺伝子が存在する。今後は、これら候補遺伝子の中から、HAPEの病態に特に重要と考えられる遺伝子をピックアップし、SNPs解析を進める予定である。
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Research Products
(3 results)