2011 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器疾患の胸部CT画像による定量的網羅的評価システムの開発と病態解明への応用
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22590861
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平井 豊博 京都大学, 医学(系)・研究科(研究院), 准教授 (20359805)
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Keywords | 解析・評価 / 画像解析 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、胸部CT (Computed Tomography)画像を用いて、呼吸器疾患における肺病変だけでなく肺外構造を定量的に評価することで疾患特異的な定量的指標を見い出し、症状や生理学的、生化学的な他の臨床指標との関係や全身性の影響を明らかにし、さらにモデルシミュレーションを施行することによって形態学からみた疾患の進展様式および病態を解明することを目的としている。本年度は、COPDにおいては、急性増悪によって肺実質破壊を伴った気腫病変が進行することを定量的CT指標およびそれらを用いたモデルシミュレーションで明らかにしたのに続き、全身性影響としての骨粗鬆症に着目して、増悪の有無によって気腫病変の進行と共に胸椎の骨密度が低下すること、すなわち、増悪が骨粗鬆症に対する独立したリスク要因であることをCT画像解析によって示すことができた。これはCOPDの日常診療における肺以外の全身管理の重要性を示す結果である。また、間質性肺炎に関しては、蜂巣病変や高吸収領域の定量的指標を開発し、これらを含む肺野病変のCT指標と、肺機能、組織型などの臨床指標との関係を検討した結果、蜂巣病変の指標が組織型の鑑別に有用であること、また肺野CT値のKurtosisが予後とよく相関することが明らかとなり、論文として成果をまとめ投稿中である。さらに、肺非結核性抗酸菌(MAC)症も含めた気道病変の新たな解析法を開発し、COPDや喘息症例に適応したところ、従来の指標にはない有用性が期待できることが判明したため、CTファントムを作成して詳細に検討、評価している。このように昨年度までの成果を踏まえてCT画像解析を通して、形態学からみた呼吸器疾患の病態解明に貢献できる新たな成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究はおおむね順調に進んで新たな成果を得てきているが、今年度、新規CT指標の開発中に気道を長軸方向に解析する指標を見い出し、COPDや喘息例に適応したところ、各疾患の病態の鑑別など従来の指標にはない有用性と呼吸器疾患全般に応用できる汎用性が期待できることが判明した。このため、本法をさらに詳細に検討、評価する必要があると考え、評価のためのCTファントム作成などに着手した。ファントムは正確かつ複雑な構造を要するため作成には時間を要しており、このため、次年度のシミュレーションによる病態解析についてはやや遅れが生じることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、研究途上において、有用性、汎用性が高いと考えられる新規CT指標が得られたため、次年度に続けて本法の確立を優先して行い、その後にシミュレーションによる病態解析につなげる方針とする。
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Research Products
(3 results)