2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590862
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小賀 徹 京都大学, 医学研究科, 講師 (90378670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 大治 京都大学, 医学研究科, 助教 (70456870)
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Keywords | mDia / 線維化 / 炎症 |
Research Abstract |
本研究は、難治性呼吸器疾患において、Rhoエフェクター分子mDiaの役割を解析し、病態解明や将来の治療法開発に役立てることを目標としている。研究代表者は、ROCK/Rhoキナーゼ阻害薬が、ヒト肺線維芽細胞を用いた実験において、プロスタグランジンF2αとその受容体FPの線維化促進効果を抑制することを発見したことから(Oga T,et al.Nat Med 2009)、mDiaの組織における炎症や線維化における関与を推定した。mDiaにはmDia1,mDia2,mDia3の3つのアイソフォームが存在するが、本研究ではmDia1欠損マウスを研究分担者より供与して頂き(Sakata D, et al. J Exp Med 2007)、研究に使用した。まず研究代表者は、ブレオマイシンを用いた肺線維症モデルを用い、肺の線維化や炎症を評価する手技を確立し、この遺伝子改変マウスに適用した。ブレオマイシンを経気管的に肺に投与後、21日目にコラーゲン量の指標として肺のハイドロキシプロリンを測定すると、mDia1欠損マウスでは、野生型マウスに比較して、有意に減少していることが判明し、mDia1の肺線維化における効果を確認した。また並行して、気管支喘息動物モデルを立ち上げ、同様にこのマウスに適用した。その結果、mDia1欠損マウスでは、有意にアレルギー性炎症と気道過敏性が抑制されていた。このように、mDia1は、肺線維症と気管支喘息の慢性呼吸器疾患の動物モデルにおいて、炎症と線維化の両面に関与していることが明らかになった。これらの疾患は、罹患率も高く、未だ根治する薬剤が存在せず、病態も未知の部分が多く、研究の推進は重要である。平成23年度は、これらの病態におけるmDia1の関与の機序について解明するよう、実験を重ねていく予定である。
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