2011 Fiscal Year Annual Research Report
ADCC活性制御による胸膜中皮腫の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
22590863
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
清水 英治 鳥取大学, 医学部, 教授 (50187449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千酌 浩樹 鳥取大学, 医学部, 講師 (90283994)
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Keywords | 胸膜中皮腫 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
セツキシマブは非小細胞肺癌に過剰発現しているEGFRに対するモノクロナール抗体である。肺癌領域では全生存期間の上乗せ効果が証明され本剤への期待はきわめて高い。一方胸膜中皮腫は胸膜原発の悪性腫瘍であるが、アスベスト暴露後40年前後の潜伏期を経て発病するため、国内での使用が禁止された後も急増している。現在のシスプラチンとペメトレキセドの併用治療は、中間生存期間が12ヶ月と満足すべきものではなく新規治療法の開発が強く求められている。我々はこれまで肺癌におけるセツキシマブの作用機序の検討を行い、本剤においては抗体依存性細胞障害(ADCC)機序が極めて重要であることを明らかにした。さらに本ADCC活性は胸膜中皮細胞株にも同様に発揮されること、胸膜中皮細胞表面に発現するNKG2Dリガンドやその可溶性NKG2DリガンドがADCC活性を調節することを見いだしている。これらの知見を統合し皮成長因子受容体(EGFR)に対するモノクロナール抗体セツキシマブの悪性胸膜中皮腫への効果的な投与法を開発することを目的として本研究を行った。 平成23年度も昨年に引き続いて、実際の胸膜中皮腫患者において、腫瘍細胞表面上のNKG2Dリガンドと可溶性リガンドのそれぞれがセツキシマブADCC活性に与える影響を明らかにするために以下の検討を行った。 1.胸膜生検を受ける中皮腫患者において、腫瘍上のリガンド量(免疫組織染色で測定)と、血清リガンド量(ELISA)を測定し、中皮腫患者においても可溶性リガンドが上昇することを明らかにした。 2.化学療法前後でのNKG2Dリガンドの測定を行った。 3.マウス中皮腫モデルを用いてin vivoでセツキシマブのADCC効果とNKG2Dリガンド量の相関を検討し、セツキシマブがADCC効果を通じて中皮腫に活性を持つことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎実験の進展が計画よりすすんでいる。臨床データについては症例数がやや不足気味である。総合するとほぼ計画通りと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
胸膜中皮腫患者については、近隣病院より紹介を受けるよう働きかけ、症例数の蓄積に努力する。
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