2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポドサイトのノッチシグナル修飾による糸球体硬化の治療
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22590877
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長田 道夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10192238)
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Keywords | ポドサイト / ノッチシグナル / 糸球体硬化 / γ-secretase / FSGS |
Research Abstract |
NEP25マウスにNephrin-Cre/ROSA26-loxPのトランスジェニックマウスと交配し、geneticにポドサイトにβガラクトシダーゼを発現したトリプルトランスジェニックマウスを確立した。このマウスにポドサイト特異的障害作用を持つイムノトキシンを静注し、組織レベルでのNotchシグナル系の発現を検討した。投与から12日目に臨床的には尿蛋白の著明な増加と、組織学的にはX-gal染色でポドサイトを示すエリアの減少と、糸球体壁細胞(Parietal epithelial cell ; PEC)の増殖を2重染色で確認した。病変糸球体の組織型はヒトのcollapsing FSGFに類似し、ポドサイトにはNotchシグナルのリガンドとレセプタであるJagged1とNotch1の共発現を、管外増殖病変にはそれらに加えPEC markerであるclaudin-1の発現が免疫染色で確認された。これらマウスの単離糸球体から抽出したmRNAをReal-time PCRで解析したところ、Natch1、Jagged-1に加えGrowth FactorであるTGF-β、HGF、PDGF、FGF-2がそれぞれ対照群の3-4倍増加していた。従来その糸球体発現が示されたNotchシグナルはポドサイトであったが、collapsing FSGSにおいてはポドサイトだけではなく、PECにもそのリガンドとの共発現を認めた。このとこから本病態におけるPECの動態にはNotchシグナルを介したGrowth Factor群がバックグラウンドとして関与する可能性が示唆され、今後は不死化培養ポドサイト、不死化ボウマン嚢上皮細胞(ともに入手済み)を用いて、遺伝子導入を行い、細胞レベルでのNotchシグナルとGrowth Factor群の相互作用と、それらによって惹起されるPECの増殖・移動に関わる形質発現の制御や形質変換の検討を行っていく。
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