2011 Fiscal Year Annual Research Report
近位尿細管S3セグメント遠位領域の前駆様細胞の存在・分裂様式と多剤耐性形質の検討
Project/Area Number |
22590884
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤垣 嘉秀 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20283351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 日出夫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60432209)
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Keywords | 再生 / 急性腎不全 / 近位尿細管 / 細胞分裂 / ストレス耐性 |
Research Abstract |
酢酸ウラニウム誘発ラット急性腎不全の尿細管障害回復時に近位尿細管S3セグメント遠位領域に出現する初期再生細胞群(標的細胞)の特性を検討するためにvincristine投与により分裂期で細胞回転停止させ局在と分裂様式、細胞形質を観察した。有糸分裂中の細胞回転停止像から前駆細胞の特徴と想定される不等分裂が示唆されたが、分裂終了直後の形態像が少なく、電顕観察にても不等分裂を明確にはできていない。ゲンタマイシンによる急性腎不全モデルにおいても同様の検討をし、初期再生細胞の局在を解析している。 酢酸ウラニウム誘発ラット急性腎不全における標的細胞は、部分的に近位尿細管細胞形態と形質を有し、主に近位尿細管S3とヘンレの細い下行脚との移行部に認めた。しかし、免疫電顕での検討で幹細胞マーカーCD133および多剤耐性形質マーカーのABCC2とABCG2(ABC transporter)の標的細胞での特異的な発現は認めなかった。 ここまでの検討では、酢酸ウラニウムに対して抵抗性を示し尿細管障害後の再生を担うと考えられる標的細胞は、ABC transporterを介さずに酢酸ウラニウムに耐性を示す可能性が示唆された。今後、免疫電顕にて標的細胞での前駆細胞に関与するintegrin発現、notch、Wnt経路分子発現を検討するとともに、生存・増殖の観点からin vitroでの抗アポトーシス分子や増殖促進因子などの関与の検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
尿細管障害後の再生を担うと考えられる標的細胞の前駆様細胞特性を検討するためにvincristineにより分裂期で細胞回転停止させ分裂細胞(標的細胞)を数的に多く観察することと、細胞分裂様式から前駆様細胞特性としての不等分裂を観察することを計画した。標的細胞の局在は比較的良好に検討できている。しかし、当初計画した標的細胞の細胞形質および細胞分裂様式の検討からは想定した前駆様細胞め特徴における違いは現時点では明確になっておらず繰り返しの検討を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
近位尿細管細胞は単離培養にて脱分化する可能性があるため、想定される前駆様細胞(標的細胞)とそれ以外の細胞を形質の観点から比較検討することには限界がある。このため、標的細胞の特性の検討にin vivoにて前駆細胞に関与するintegrin発現、notch、Wnt経路分子発現などの検討を継続する。さらに、標的細胞の酢酸ウラニウムに対する耐性特性の観点から、標的細胞を単離培養細し酢酸ウラニウムおよび5-FUに対する耐性の有無と尿細管細胞での抗アポトーシス作用および増殖活性を有するHGF/c-Metシグナリングと細胞動態などの機能的特性の検討を実施する。
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Research Products
(7 results)