2011 Fiscal Year Annual Research Report
患者血清を用いた免疫複合体疾患動物実験モデルの樹立
Project/Area Number |
22590885
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坪井 直毅 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50566958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10362253)
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Keywords | 好中球 / 全身性ループスエリテマトーデス / インテグリン / Fc受容体 |
Research Abstract |
今研究ではSLEや慢性関節リウマチなどtype II,IIIアレルギー疾患(自己免疫疾患)におけるヒトFcg受容体とCDllbの役割を明らかにすることを目的としている。ヒトFc・受容体トランスジェニックマウス(hFc・RTg)に自己免疫疾患患者血清を移入した誘導性自己免疫疾患マウスモデル樹立により、ヒト自己免疫疾患発症進展メカニズムをin vivoで解明することを提案した。海外研究協力者であるTanya Mayadas研究室との共同研究により、hFcgRTgマウスではループス腎炎患者血清投与後の糸球体上で有意なIgG沈着を生じたものの蛋白尿発症には至らないが、hFcgRをMac-1欠損マウス上に発現させることにより、hFcgRIIA発現マウスで蛋白尿、糸球体細胞増殖が認められ、ループス腎炎のマウスでの再現が可能となった。加えてMac-1のSLEにおける役割を明らかにするため、pristane500μg腹腔内投与によるSLEモデルを当研究室で設立した。我々は上記SLEモデルをMac-1(CDllb)欠損および野生型マウスに導入し、SLEにおけるMac-1の役割をin vivoで検討した。C57BL/6背景の野生型マウスはPristane投与10日から14日後に高率に肺出血を呈したが、Mac-1欠損マウスにおける同病変の出現頻度は有意に減少していた。一方4-6ヶ月経過後に発症するループス腎炎の解析を行ったところ、Mac-1欠損マウスでは野生型に比し、蛋白尿、疾患活動性両者で有意な悪化が認められた。以上からMac-1は初期の肺胞出血に対しては促進的に、その後の自己免疫疾患に関しては保護的に作用していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトFc・受容体トランスジェニックマウスでの患者血清投与によるSLE誘導系については共同研究によりin vivoでの確立が概ね可能となった。しかしながらMac-1のSLEにおける役割については未だ不明である。ストックしているSLE患者血清には限りがあるため、具体的メカニズムについてはPristane誘導性SLFにモデルにおいてさらなる検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト患者血清を用いたループス腎炎樹立の成果は2012年度の日本腎臓学会にて報告予定である。次年度以降は当院.腎臓内科入院患者から血清採取を継続、一定量に達した時点でさらなる検討を加える予定である。近年炎症組織浸潤マクロファージには活性型(M1)、免疫調整型(M2)の二種類が存在し、それぞれ炎症の増悪あるいは炎症の抑制、回復にかかわっていると予想される。SLEでもマクロファージのM1からM2への形質転換が疾患に影響を与える可能性があるため、Pristane誘導性SLEモデルにおいて、腹腔内マクロファージのM1,M2細胞を検討する予定である。またPristane投与マウスに蛍光染色した好中球を投与し、肺への浸潤程度をや野生型、Mac-1欠損マウスで比較検討する。
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