2010 Fiscal Year Annual Research Report
一般住民における血清シスタチンC値と心血管病発症の関係:久山町研究
Project/Area Number |
22590892
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 利治 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (30571765)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 裕 九州大学, 医学系研究科, 教授 (80161602)
|
Keywords | シスタチンC / アルブミン尿 / 系球体濾過値 / 動脈硬化 / 心血管病 |
Research Abstract |
平成22年度、本研究では血清シスタチンC値、糸球体濾過値(eGFR)、尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)の3つの腎障害マーカーと末梢動脈疾患(PAD)の有病率の関係を検討した。平成14年の久山町における循環器健診を受診した40歳以上の久山町の一般住民3,328人(久山町第4集団、受診率78%)のうち、研究への参加への非同意者、血液・尿サンプル未採取の者、足関節上腕血圧比(ABI)未測定者を除いた3,059名を研究対象とした。ABI<0.9をPADありと定義した。研究対象者のうち、45名(1.5%)にPADを認めた。初めに血清シスタチンC値の4分位値(<0.65、0.65-0.71、0.72-0.81、≧0.82[単位mg/L])別にPADの有病率(無調整)を検討したところ、それぞれ1.0%、0.9%、1.2%,3.0%と血清シスタチンCの上昇に伴い直線的に増加した(p for trend<0.001)。eGFR、UACRについても同様の解析を行ったところ、eGFRの低下及びUACRの上昇に伴い、PADの有病率は上昇した(eGFR[単位ml/分/1.73m^2]:〓90,1.0%;77-89,0.8%;67-76,1.1%;<67,4.0%;UACR[単位mg/g]:<5.3,0.4%;5.3-9.9,0.5%;10.0-21.9,1.6%;〓22.0,3.4%;両p for trend<0.001)。しかしながら、年齢、性、収縮期血圧、降圧薬使用、糖尿病、高コレステロール血症、高感度CRP、心血管病の既往、喫煙、飲酒で多変量調整を行ったところ、血清シスタチンC及びeGFR値とPADの間に有意な関連を認めなかった。一方、UACRの上昇に伴いPADを有する相対危険(RR)は有意に上昇した(<5.3,RR=1.00;5.3-9.9,RR=1.13;10.0-21.9,RR=2.69:〓22.0,RR=4.42;p for trend=0.004)。以上の成績から、3つの腎障害マーカーの中で、UACRが最もPADとの関連が強いことが明らかとなった。 また、本研究では、上述の久山町第4集団を対象とした追跡調査を行った。この追跡調査では、健診、健診未受診者および転出者に対するアンケート調査、町内外の病院や開業医における医療記録や画像診断等の臨床情報の収集、剖検による死因の同定を行っている。この追跡調査の成績をもとに、平成14年から21年の7年間における心血管病発症と死亡に関するデータベースを整備した。追跡期間中に354名の心血管病発症と352名の死亡を認めた。今後も引き続き追跡調査を継続し、上述の3つの腎障害マーカーと心血管病発症や死亡との関係を検討する予定である。
|
Research Products
(1 results)