2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群におけるCKD発症の分子基盤の解明
Project/Area Number |
22590903
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
奥田 誠也 久留米大学, 医学部, 教授 (80158823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 誠二 久留米大学, 医学部, 准教授 (80322593)
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Keywords | 慢性腎臓病 / CKD / メタボリック症候群 / 内皮機能障害 / ADMA / DDAH / 微量アルブミン尿 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、最近CKDのリスク因子として明らかになったメタボリック症候群(MetS)がいかに腎症外の進展に関与するかを明らかにし、新しい治療戦略を開発することである。特に「内皮機能がCVDとCKDの共有のリスク因子である」との概念に基づき、内皮障害因子であるAsymmetric Dimethylarginine(ADMA)に焦点を、ADMAがMetSとCKDを介在する因子であることを検証した。 1) 血中ADMAとMetSの因子、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症の関連を検討したところMetsではADMAの上昇が認められ、因子の数に比例して増加していた。また動脈硬化の指標である頚動脈内膜中膜肥厚度とADMAの相関が見られた。 2) マウスに高脂肪食を与えMetSモデルを作成すると、微量アルブミン尿の増加、メサンギウム細胞の増殖を認めた。また高血糖とインスリン抵抗性、脂肪細胞の肥大、脂肪組織における毛細血管密度の低下、HIF1αの発現亢進を認めた。ADMAは高脂肪食により上昇し、脂肪組織でADMAの代謝酵素であるDDAHの著明な発現低下を認めた。DDAH-1のトランスジェニックマウスでは微量アルブミン尿は減少し、メサンギウム細胞の増殖も抑制された。さらにインスリン抵抗性の改善、脂肪細胞の縮小、毛細血管密度の増加、HIF1aの抑制が観察された。 結論)Metsでは、特に脂肪組織におけるDDAH-1の発現低下、ADMA上昇が血管内皮障害、虚血を引き起こし、CKDの発症に関連していることが示唆された。
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