2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼若期高脂肪食負荷の高血圧・腎障害メカニズムの検討
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22590908
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安東 克之 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60184313)
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Keywords | 幼若期肥満 / 食塩感受性高血圧 / ミネラルコルチコイド受容体 / Dah1S.Z-Lepr^<fa>ラット |
Research Abstract |
われわれは幼若期からの食塩過剰摂取が不可逆的な腎障害を惹起・重篤化して、成人期の高血圧につながる可能性を示し、そのメカニズムとしてのミネラルコルチコイド受容体(MR)刺激状態を提唱してきた(Kawarazaki H, Andn K,et al. Nephrol Dial Transplant 2010;25:2879;Kawarazaki H,Ando K,et al. Am J Physiol Renal Physiol.2011;300:F1402).そこで、食塩高血圧は肥満高血圧とそのメカニズムにおいて共通点がある(Ando K,et al. Free Radic Biol Med.2009;47:213)ことから、小児肥満における高血圧について検討を行うべく、幼若(3週齢)ならびに成人期(10週齢)の正常ラット(Sprague-Dawleyrats)に対して高脂肪食負荷を行い比較したが、食餌性の肥満は程度が軽く、血圧で差を見いだせず、腎障害も認めなかった。さらにZucker肥満ラットにおける高脂肪食負荷も片腎摘を行っても腎障害を認めなかった。実験プロトコールを変更し、Dah1食塩感受性(Dah1S)ラットとZucker肥満ラットを交配して作成したDahlS肥満ラットで検討を行った。Dah1S肥満ラットはDah1Sラットに比べて通常(0.5%)食塩食で幼若期から肥満、糖代謝異常、脂質代謝異常(特に血清中性脂肪が著明増加)、高血圧を呈し、腎機能障害が顕著であった。食餌量制限(約60%に摂取量を減少)でこれらの改善を認めた。さらに、Dah1S肥満ラットは著明な低レニン血症を認めることから、食塩貯留があり、これが高血圧ならびに腎機能障害に大きな役割を果たしている可能性が考えられた。実際、低塩(0.05%)食にすると高血圧、腎機能障害の改善を認めた。なお、Dah1S肥満ラットでは血漿アルドステロン濃度はDah1Sラットに比べて低下しているが、血漿アルドステロン/血漿レニン活牲比をとると、著明に上昇しており、このモデル動物ではアルドステロン産生増加があり、これはこれらの異常の一因であると考えられた。このモデル動物で副腎重量の増加があることも、この仮説を支持する。今後は高アルドステロン薬の投与などを行い、さらに検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の2つのプロトコールがうまくいかなかったが、肥満並びにそれにともなう血圧上昇や腎障害の顕著なDah1S肥満モデルに対象動物を切り替えることにより、期待通りアルドステロン-MR-系が幼若期の食塩感受性高血圧の腎障害のみでなく肥満を伴う高血圧の腎障害にも関連していることを示唆する所見を得たのみでなく、肥満と食塩感受性の密接な関係を仲介する因子としてのアルドステロン-MR系の役割に関する成績も得られそうであり、順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は抗アルドステロン薬投与の影響を見ることによって、アルドステロン・MR系の役割を確認するとともに、肥満に伴うアルドステロン産生増加(副腎重量増加)のメカニズムの解明を行う。特にアディポサイトカインの役割について検討を加える予定である。なお、DahlS肥満ラットに対する低塩食の効果は食事量制限の効果より弱く、その機序の一部にアルドスデロン・MR系が関与しているとしても、単一の機序で説明ができるとは限らない。脂質代謝の改善は低塩食より食事量制限の方が顕著であるので、こちらの観点からも腎障害のメカニズムについて検討を加えたい。
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Research Products
(20 results)