2011 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン18とオステオポンチンの相互作用と腎線維化に関する役割解明
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22590912
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大藏 隆文 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40260385)
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Keywords | インターロイキン18 / オステオポンチン / 慢性腎臓病 / 腎線維化 / アルドステロン / タイプIコラーゲン / フイブロネクチン / 腎尿細管細胞 |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)において腎臓の線維化を抑制できれば、末期腎不全への移行を回避することも可能である。腎線維化においてオステオポンチン(OPN)が重要な役割を演じているが、最近インターロイキン18(IL-18)がアルドステロンによって誘導され、組織の線維化に関与することが報告された。IL-18の作用はOPNの作用と類似する点が多く、IL-18の作用はOPN介している可能性が考えられる。 本研究では、IL-18欠損(KO)マウスを使用して、この二つのサイトカインの相互作用・役割を解明し、これらの制御が腎線維化抑制につながるかを検討した。 腎線維化モデルとしてアルドステロン負荷+片腎摘出+食塩負荷(AD)を作成した。AD負荷4週後の腎組織では、野生型マウス(WT)では間質の腎線維化とともに尿細管にIL-18,の発現増加が認められた。しかし血漿中のIL-18の上昇は認められなかった。IL-18KOマウスではADによる間質の線維化は著明に抑制されていた。腎線維化に関連する遺伝子発現の検討で偉、WTにおいてAD負荷はType Iおよびブイブロネクチンの発現を著明に増加させたが、KOではコントロール群と同等の発現量でその増加は抑制されていた。腎でのOPN遺伝子および蛋白発現はADにより著明に誘導されていたものの、KOではその発現増加は認められなかった。また、腎尿細管細胞(NRK-52E)を用いたin vitroの検討では、アルドステロン負荷によって、12時間後より有意にIL-18の遺伝子発現が増加し、用量依存性も認められた。 これらのことから、アルドステマンによって誘導される腎臓の線維化は、IL-18を介して行われ、その下流にはOPN炉存在するこどが示された。、また、IL-18の発現を抑制することは、腎線維化の抑制につながることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究によって、腎線維化におけるIL-18の役割を明らかにし、IL-18を抑制することでアルドステロンによって誘導される腎線維化も抑制できることが判明した。このことで、腎線維化が関与する慢性腎臓病対策として、IL-18が治療対象分子であることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で、アルドステロン負荷+塩分負荷で誘導される血圧上昇は抑制されていた。これまでにもIL-6などのサイトカインのKOによって、高血圧モデル動物の作成を行っても血圧上昇が抑制されることが報告され、炎症の抑制が血圧上昇を抑制することが報告されている。IL18にも同様な作用があるものと推測されるが、その作用機序は木明である。今後この作用機序に関して検討していく予定である。また、IL-18とOPNの関連では、Invivo.においてIL-18の抑制はOPN発現を抑制した。しかしInVitroの検討では、IL-18の発現を抑制してもOPNの発現は抑制されなったことから、この二つの分子は直接的ではなく、様々な分子を介して認められる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)