2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性微小血管障害の心腎連関の機序の解明:ナトリウム調節臓器としての腎臓の役割
Project/Area Number |
22590914
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 教授 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 貴博 自治医科大学, 医学部, 助教 (10424037)
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Keywords | 糖尿病 / 心筋微小血管障害 / 組織アンジオテンシンII |
Research Abstract |
心筋細胞(CM)の栄養血管である毛細血管(Cp)が糖尿病(DM)性心筋症にどのような機序で関与するのかを、アンジオテンシンII(AngII)受容体拮抗薬オルメサルタン(0)を用いて検討した。雄のSpontaneously Diabetic Torii rat(SDT rat)をDM発症直後に0投与(0群)と非投与(S群)に分け、同週齢のSprague-Dawley ratを対照(C群)とし、8・16週後の左室の機能と形態を比較した。S群と0群の血糖値は、ともにC群と比べ著明高値を示し2群間で有意差はなかった。心エコー検査で、8・16週のS群で左室拡張能障害と左室後壁厚の増加および16週のS群で左室収縮能障害を認め、これらは0群で抑制された。8週S群ではCM面積・Cp数・PCNA陽性Cp数、低酸素で誘導される血管内皮増殖因子(VEGF)の発現がC群に比べ増加したが、16週S群ではCM面積とVEGF発現増加に加え、Cp数の減少、TUNEL陽性Cp数及び血管新生抑制因子のトロンボスポンジン-1(TSP-1)発現の増加を認め、いずれも0群で改善した。左室心筋線維化率は16週S群でC群に比べ増加し0群で拗制されたが、8週では3群間で不変であった。8・16週のS群ではC群に比べ血清AngII濃度の低下と左室心筋内Ang II濃度の増加を認め、0群で抑制された。以上より、DMを発症したS群では、まず心筋局所で産生されたAngIIによるCMの肥大と、それに伴う相対的慢性低酸素状態を介してVEGFが過剰発現しCpを増やすことで代償するが、その後活性化されたTSP-1がVEGFの血管新生促進作用と拮抗しCpをアポトーシスに誘導することで心筋線維化が出現することが判明した。
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Research Products
(1 results)