2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性微小血管障害の心腎連関の機序の解明:ナトリウム調節臓器としての腎臓の役割
Project/Area Number |
22590914
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 教授 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 貴博 自治医科大学, 医学部, 助教 (10424037)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 腎局所アンジオテンシンII / 糸球体過剰濾過 / 尿細管Na再吸収 / 体液貯留 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の体液貯留にアンジオテンシンII(AngII)がどのように関与するのかを、AngII受容体拮抗薬オルメサルタン(O)とインスリン(I)を用いて検討した。雄のSpontaneously Diabetic Torii rat(SDT rat)を糖尿病(DM)発症直後にO(O群)またはI投与(I群)と、非投与(S群)に分け、同週齢のSprague-Dawley ratを対照(C群)とし、16週後の血圧、血漿AngIIと心房性Na利尿ペプチド(AN)濃度、クレアチニンクリアランス(CCr)、尿細管Na再吸収量及び免疫蛍光による腎臓局所AngIIの発現を比較した。血圧は4群間で差を認めなかった。血糖値はC群に比べ、S群とO群で同程度に増加し、I群で部分的に抑制された。血漿ANP濃度、尿細管Na再吸収量及びCCrはいずれもS群がC群に比べ高く、O群で部分的に、I群で完全に抑制された。血漿AngII濃度はS群で低下し、O群で改善を認めた。一方、腎臓局所AngIIの発現はS群で増加し、O群とI群で完全に抑制された。また、S群の腎皮質AngIIは近位尿細管マーカーのaquaporin1と共発現を認めた。さらに、近位尿細管の等張性Na再吸収に関与するaquaporin1とNa-Hexchanger3の発現はいずれもS群で増加し、O群で部分的に抑制された。以上より、糖尿病性腎症を発症したSDT ratでは、持続的高血糖が引き金となって、循環血中AngIIとは無関係に、1)近位尿細管で過剰産生されたAngII及び2)AngIIとは独立した機序を介して、同尿細管からのNa再吸収が亢進し体液貯留を引き起こすことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者の増田が退職し、2011年9月から米国に留学したため、一部未施行の実験プロトコールが残ったが、研究はおおむね実験計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に、過去2年間に実施できなかった実験プロトコールを行い、それらを含めた両年度の成果を基礎に、本研究課題を完成させる予定である。本研究成果の一部は、既に米国生理学会雑誌(Am J Physiol)に発表済である。
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Research Products
(2 results)