2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性微小血管障害の心腎連関の機序の解明:ナトリウム調節臓器としての腎臓の役割
Project/Area Number |
22590914
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 教授 (40190855)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 糖尿病性心筋症 / 組織アンジオテンシンII / 体液貯留 / 容量負荷 / Na輸送 |
Research Abstract |
過去2年間の本研究成果で、糖尿病(DM)を発症したSpontaneously Diabetic Torii rat (SDT rat)の腎臓及び心臓局所ではアンジオテンシンII(AngII)が過剰産生されることが判明した。そこで、AngII受容体拮抗薬オルメサルタン(O)とインスリン(I)を用いて、局所AngIIが腎症と心筋症との間のクロストークにどのように関与しているのか検討した。雄のSDT ratをDM発症直後にO(O群)またはI投与(I群)と、vehicle投与(S群)に分け、同週齢のSprague-Dawley ratを対照(C群)とし、16週後の血圧や、腎臓と心臓及び血漿の各種パラメーターを比較した。血圧は4群間で差を認めなかった。血糖値はC群に比べ、S群とO群で同程度に増加し、I群で抑制された。左室及び腎臓局所AngIIの発現は、C群に比べS群で増加し、各々心筋細胞マーカーのミオシン及び近位尿細管マーカーのaquaporin 1(AQP1)と共発現を認めた。S群ではC群に比べ、左室内腔の拡大、左室心筋肥大、左室拡張能の低下、血漿心房性Na利尿ペプチド(ANP)濃度の増加、血漿レニン活性の低下、クレアチニンクリアランスの増加、尿細管Na再吸収量やそれにかかわるAQP1とNa-H exchange 3の発現増加が観察された。さらに、S群ではC群に比べ、左室心筋細胞の肥大や間質線維化の増大と、AngIIやANP発現の増加を認め、これらは左室心内膜下に限局して観察された。一方、上記S群で認められた異常所見はO群とI群で改善した。以上より、高血糖が引き金となり近位尿細管で過剰に産生されたAngIIが同尿細管からのNa再吸収亢進を介して循環血漿量の増加/容量負荷を引き起こし、その結果左室心内膜下に限局して産生されたAngIIが心筋細胞肥大/線維化発症に関与していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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